一直線穴熊 △7三銀型 04
大分前に少し検討した形。久々に実戦で現れたのでメモしておく。
上図は02で書いた局面。以下▲5四歩、△7六歩、▲6六角、△8六飛、▲8八歩と進んで下図。
実戦はさわやかに△7三桂と跳ねたが悪手で、▲7四歩、△6五桂、▲7三歩成で、▲7五角の筋があるので先手の攻めが早い。
比較して考えていたのが手筋の△7七歩成で、▲同角なら△7六飛として手を渡し△7三桂~△6五桂を見せて急かす。
ただじっと▲4六歩が気になるか。やはり右銀の働きが悪いのが気がかり。
△7七歩成に▲同桂も気になるところ。△3四歩が見えるが、▲同銀と取られて△同金、▲同飛、△8八飛成に▲5三歩成~▲6五桂の筋があって自信なし。
よって△3七歩と叩いて次に△7六歩などだろうか。
ただ、どちらの手順も右銀と右桂の働きが今一つなまま戦いになってしまっている感じ。
浮かむ瀬によれば、2つ目の図では△5四歩と手を戻しておくのが正解だった。評価値はほとんど互角で千日手になる順も示していた。
△5四歩にはどこかで▲5二歩が生じるのが嫌だったが、すぐに打っても響きが薄いので大丈夫。後手は△7七歩成でなく△8二飛と引いて受けつつ態勢を立て直す将棋らしい。▲3四銀なら△同金、▲同飛に△4三銀と受ける。早い展開なら△2二銀打と埋めるのが普通だが、歩得を主張してゆっくりした将棋にするべきとのこと。
異次元の狙撃手 18
新人王戦準々決勝、青嶋-梶浦戦より。
同型矢倉から、▲4五歩、△同歩、▲3五歩、△同歩、▲同角、△4四銀、▲3六銀の形に。後手が入玉を狙う将棋に進むこともありますが、本譜は先手の攻めを余しつつ反撃に出る展開を選びました。
今後手が猛ラッシュをかけてきたところ。この手は詰めろで、後手玉は必至ぐらいはかかりそうだがまだ詰みはないので、しばらくは受けに回る必要がある。
まずは▲5七桂。そこで△8七歩成、▲同歩、△6七銀成、▲同玉、△8七飛成の順は詰めろになっておらず▲5二銀、△7一玉(△同金は詰み)、▲6三銀成で先手勝ち。
しかし、実はこの局面は後手優勢。ここで△8七金があったのだ。
以下▲同歩、△同歩成、▲6八玉、△6七銀成、▲同玉、△7七と、▲同玉、△5七角成の順。金を渡しても後手玉は詰まない(ただし厄介な変化はある)。
実戦は△4七金。確実な手に見えるが、そこで▲4八銀が手筋の一着。
△同金なら詰めろが外れる。
実戦は△8七歩成、▲同歩、△6七銀成、▲同玉、△5七角成、▲同銀、△8七飛成で下図。
次の一手が決め手に近い。
龍が8筋から逸れると▲8三角が生じるので、金駒がもう一枚入れば後手玉は詰む。よって△5七金~△7八龍とは指せない。
以下△7五桂、▲同歩、△7六金、▲6八玉、△7七金、▲同銀、△6五桂と手順を尽くしましたが、駒を渡した上▲7五歩の形になったのが大きく、▲5二角以下後手玉は即詰み。
一瞬の逆転。
異次元の狙撃手 17
久々に青嶋先生の将棋を。
新人王戦の青嶋-石井健戦です。
角換わりの序盤から。お互いに位を取り合っているのが少し珍しいものの、何の変哲もない局面。
次の一手から、先手がどんどん攻勢に出ていきます。
まず▲4六銀があまり見ない手。以下△3一玉、▲7九玉、△7四歩、▲4七金、△6四角、▲3八飛で下図。
△6四角と手放す必要があるのかは難しいが、▲3八飛に△4四歩とすぐに後手から戦いを起こす進行なので、これで後手戦えるという判断か。角を手放されなかった場合は▲3五歩から一歩換えておくぐらいだろうか。3筋の歩が切れるのは先手にとってかなりのポイントだ。
実戦は△4四歩に▲3五歩で本格的な戦いに突入した。
以下△4五歩、▲同桂、△4四銀、▲5六金、△4三金右、▲3四歩。
△4四銀で△同銀、▲同銀、△1九角成は▲3四歩、△4二銀(2二銀)に▲4六角などだろうか。後手は陣形の乱れが酷く指しきれなさそう。そこで△4四銀とかわすが、▲5六金がずっと指したかった手で、一気に先手の攻めが手厚くなった。
見ていて気持ちが良くなる手順だ。
尤も形勢は難しく、以下△3七歩、▲4八飛、△3四金とねじり合いが続いた。最後は寄せ切って先手勝ち。
続・謎多き同型矢倉
前回の続きです。
実戦は何も考えずに△7七歩、▲同歩、△同桂成と進めましたが微妙。▲同角(下図)と取られ、少し先手が良いようです。▲3六桂を狙っている相手にすぐ桂馬を渡すのは得策ではありませんでした。
尤も、罪深かったのは次の△6六歩で、▲同角、△6五歩に▲4四角と切られて青ざめました。浮かぶ瀬の評価値も+1500オーバー。笑うほかないです。実戦はそのまま敗勢に陥った後、何故か逆転勝ちしたのですが…。
△6六歩では△6五桂が優ったらしいですが、落ち着いて▲6六角、△7七歩、▲6八金ぐらいでもあまり自信がありません。やはり▲2四歩や▲3六桂など、いつでも手が付く形なのが嫌味です。
浮かぶ瀬の推奨は、△7七歩に代えて△8六歩、▲同角、△3五歩、▲2四歩(下図)といった進行。角の利きが逸れたところで、3六のスペースを消す手順。お互いに受けたり攻めたり、複雑な思考が要求される局面のようだ。
△8六歩には▲同歩もありそう。こちらも△7五銀と出て快調なようだが、▲同銀、△同角、▲2四歩で難しいようだ。△7五銀に▲6五銀なら△8七歩~△8五歩などがある。
どの変化でも+100~-100から外れず、非常に微妙な押し引きが続きます。
同型矢倉は楽しい世界ですね。なかなかこの形になりませんが…
謎多き同型矢倉
実戦より。
結論が出てもおかしくない形ですが、手が広く奥深い戦型だと思います。実戦だと後手の急戦矢倉志向を先手が避けて進む場合が多いでしょうか。
最近の本だと「藤森流急戦矢倉」に載っていますが、由緒ある形ですので他にも書かれている本は多いでしょう。対談本や「読みの技法」にも載っていた記憶があります(間違っていたらすいません)。
端の付き合いの有無や、玉を7九に置いておくか否かで微妙に展開が変わってくるのが面白いところ。先日指した形は下図でした(後手が私)。
以下△同歩、▲同桂、△4四銀、▲4六銀、△6五歩、▲同歩、△7五歩で下図。ごくごく普通の進行です。
ここで本譜は▲同歩と取ってきました。
藤森本は▲3五歩を最善としており、以下△7六歩、▲同金、△7五歩、▲6六金、△7四銀、▲3四歩、△6五銀の進行で後手自信ありと述べられています。
本譜の▲同歩の場合は、△6五桂、▲7六銀、△6四銀、▲6六歩、△7七歩(下図)以下後手が主導権を握るとのこと。
確かに、△7五歩、▲同歩が入ると後手の攻めが一手早くなるように見えるのは事実です。
ただ▲6六歩は甘い気がするところ。本譜は▲6六歩で▲2四歩とされ、△同歩、▲2五歩、△同歩、▲3五歩(下図)と進められました。これがなかなか嫌な手順です。
この▲3五歩がぬるそうに見えて好手で、じわっと圧力をかけながら将来の▲3六桂のスペースを作っています。このあたりの手順は「浮かむ瀬」と一致。ちなみに形勢は±50辺り。やはり難しい局面のようです(当たり前ですが)。
続きます。
対角換わり棒銀 03
最近「浮かむ瀬」をダウンロードしたので、技巧との二刀流で行こうと思います(^^)。
さて、局面は先日紹介した形。実戦で試す機会があったので検討してメモしておきます。
本譜は上図で△4二玉と上がられ、それでも▲4五桂と跳ねていきました。
ただここで△2二銀と引かれていたら若干無理気味だったと思います。ソフト的にはこの局面は互角の評価ですが、進めていくと桂馬を取りきられて徐々に値が落ちていく場合が多かったです。
本譜はここで△4四銀。以下▲2四歩、△同歩、▲同飛、△2三歩(△2二歩が手堅い)、▲3四飛から暴れまわって勝ち。
ただ△4二玉と備えられると▲4五桂とは跳ねにくいのかもしれません。
ではどうするか。棒銀は居玉で仕掛けてくる順もあるので△4二玉と上がらせているのは得だが、先手陣もかなり形が制限されている(飛先突き越し+腰掛け銀の形)ので何とも言えない。もちろん早繰り銀にはできないし、中村太地本などに載っている▲4七銀~▲3八飛~▲2五桂の形にも組めない。
一案は右玉で、▲4七銀、△8四銀、▲1六歩、△1四歩、▲7八金としておく。
ここから後手がすぐ仕掛けてくれれば以下の順で先手良しになる。有名な順ですがご紹介しておきます。
以下△9五歩、▲同歩、△同銀、▲同香、△同香、▲9四歩、△9二歩、▲5八金。
△9八香成、▲2九飛、△8九成香、▲2九飛。
ただ、右玉を見せると後手も△9五歩とは仕掛けずに自陣整備をしつつ△7四歩~△7三銀などと立て直す順を狙ってきそう。そうなると先手番として右玉はやや消極的な気もします。
うーん、▲2五歩を決めている場合、棒銀模様なら定跡通り早繰り銀にした方がいいのかもしれませんね。また指す機会があれば考えてみたいところ。
Everything's gonna be all right
以前、こんな記事を書きました。
夏も終わりましたし、それぞれの項目にどのくらい取り組めたか、そしてこれから何をするかについてメモしておこうと思います。反省は大事ですから…笑
上記の問題集を数周。他に、中田章道先生や伊藤果先生の将棋世界付録の問題集を数冊解きました。たまに詰パラも。◎
②逃れ将棋2
一周したまま放置してしてしまいました。△
③棋譜並べ
青嶋先生の棋譜を数周。順位戦や去年の将棋年鑑もそこそこ並べました。ただちゃんと集中してできたかは疑問。○
④実戦
24やウォーズが主ですが、大会にもそこそこでました。対局数はこなした方ですが特に結果は出ず。△
⑤ハンドブック一日一周
もう全部覚えてしまった、というところで9月半ばに中断。○
その他
書籍としては「谷川流寄せの極意基本編・応用編」「角換わり腰掛け銀研究」「読みの技法」辺りを読み返し、「青嶋の結論」「屋敷流二枚銀」辺りを初めて読みました。
可もなく不可もなく…と言ったところでしょうか。
さて、最近は少し忙しいので同じ量という訳にはいきませんが、今後意識して取り組むことぐらいは決めておきましょう。
①詰将棋
やっぱり大事。最近は久々に「内藤詰将棋選集」を解いています。空いた時間にしかできないので短編中心にはなりますが…。
②「逆転のメカニズム」の読解
悪い局面で踏ん張れずそのまま負けてしまうパターンが非常に多いので、ここを鍛え直したいところ。
③棋譜並べ
特に悪手が指された局面周辺の流れに気を配りながら、じっくりと並べてみようと思います。理由は上と同じです。やはり青嶋先生の棋譜を中心に。
④実戦
時間がないのであまり取り組めないとは思いますが…。なんとか一日24一局とウォーズ3局は続け、行けそうな大会には顔を出したいところです。
さしあたり、年明けまで意識することはずばり「逆転」です。特に強い人相手に悪い局面でどう指すか、少ない時間の中で如何に立て直すか、ということに焦点を当てて考えたいです。
揺れに揺れている将棋界ですが、将棋そのものが好きな私にとってはあまり関係がないことですから。笑