相掛かりの序盤 14
また類型です。今回は軽めに。
△6四歩~△6三銀~△6二玉を急いでくる形。
右玉志向なら、△6四歩~△6三銀より△7四歩~△7三桂を急ぐ方が良いのではないか、と思います。飛車を追われた時に△8一飛と引けないのは味が悪いですし、瞬間的に形が悪すぎます。
上図から△6二玉、▲5八金、△6三銀、▲5六歩。
上図で△7四歩はやや危険、というのがメモしておきたかったこと。
△7四歩には▲3三角成、△同銀、▲4五桂が成立しています。
▲4五桂に△4四銀なら、▲4一角。
以下△3一金なら▲2三角成、△4二金なら▲6三角成~▲2四飛です。
また、▲4五桂に△2二銀なら、▲2四歩、△同歩、▲同飛、△2三歩、▲3一角。
以下△3一銀、▲3四飛、△3三歩、▲3五飛。どちらの変化も先手良し。
▲3三角成に△同桂なら潰れることはありませんが、桂頭を守る手段もなくいかにも負担になりそう。
△5二玉型なら成立しない仕掛けです。後手はまずは△5二玉・△6三銀・△6二金の陣立てを目指し、その後に場合によって遷都するという方針の方が良いのかもしれません。
さて、△8四飛+△4二銀型の形をまだ書いていませんが、次第に自分でも混乱してきたので、相掛かりシリーズは一旦中断にします。笑
実戦から検討したい局面が増えてきたので、暫くはその関連で書いてみます。
相掛かりの序盤 13
前回の続きです。後手が用心して△6二玉と戦場から離れた側に囲う場合。
以前も書きましたが、相掛かり早繰り銀に右玉で対応されるのは結構嫌です。但し、右玉に組みたいのならやはり△4二銀型の方がバランスが良さそうな気がします。
本譜の場合は、▲6六歩と止めてしまうのが良い構想。
以前、下の記事で示したことのある手です。▲6八玉型ではやりにくいように思っていましたが、組み替えてしまえば何のことはないようです。
つまり、上図で△7三桂に▲6九玉。柔軟な手ですね。
地味な手ですが、こういう構想こそ学びたいものです。
以下、細かい手順は考えずに一例を進めると下図。△6二玉のところ△5二玉の場合でも、似たような形に進みます。
先手陣の方が駒の働きが良い。やねelmoの評価値は+100~+200ほど。
△2二銀型は2筋をがっちり押さえて左辺に玉を囲おうとする手ですが、△4二玉と指しにくい(前回の記事を参照)のなら、やはりバランスを損ねているのかもしれません。
一周年
一ヶ月ほど殆ど更新できていなかった時期があるので胸を張って一周年とは言えませんが、何はともあれ、開設から一年が経ちました。
研究や対局の反省は見返せるようにしておきたいところで、以前は全てノートに取っていました。しかし手順をデータで保存することが増えてくると、そのまま局面図を作ってブログに上げる方が楽です。ネット環境さえあれば手軽に確かめられるので、それなりに便利ですし(細かく突っ込んだ手順はあまり載せていませんが)。
一応自分の棋力向上に役立っているかな、とは思います。
以下、これまで書いてきた内容をざっとまとめてみます。
◎相居飛車
- 相掛かり(最序盤を延々と)
- 角換わり(▲4八金~▲2九飛型、▲4六角型、▲4五桂速攻、右玉など)
◎対抗形
◎その他
- 私の実戦から検討
- 青嶋先生の将棋の紹介
- 雑多なメモ
反省は、さらっと手順の進行を書くだけに留まりすぎた点でしょうか。メモなので体系的にならないのは仕方ないにしても、もう少し精緻で内容のあるものにしたいです。
ピンポイントな局面を選んでいるだけあって、書いたことをよく実戦で試せているのは嬉しいですね。
相掛かりの序盤 12
ここ数回は△8五飛型に対する動き方について考察してきました。
何となく相掛かりの雰囲気を掴むのが目的なので全く体系的に書けていませんが、今日からは△8四飛型について考えてみます。
以下▲7六歩、△2二銀(△4二銀もいずれ考えてみます)、▲4六銀、△7四歩、▲3七桂、△4二玉。
△4二玉は▲3七桂を見て5三の地点を補強した手ですが、戦場になりそうな2~3筋に近づくのが難点。ここは△5二玉や△6二玉の方が無難だと思います。(とは言っても、評価値はどれも微差ですが)
ここで先手は仕掛けます。
上図以下▲2四歩、△同歩、▲3三角成、△同銀、▲6六角。
やはりここに角を置いておくのが急所になるらしい。
△8三飛のような手なら、▲3五歩、△同歩、▲同銀が成立。△3六歩、▲4五桂、△3七歩成なら落ち着いて▲2六飛と逃げておき、2~3筋のキズが大きい。やねelmoの評価値は+300ほど。
この展開は後手の飛車と右の金銀があまり働いておらず、先手ペースになりそう。
△8三飛では△7五歩が手筋。但しどこかで▲7五角が玉のラインに入るのが嫌味で、これも△4二玉の弊害かな、というところ。
ここは▲同角、▲4五桂、▲3五歩など次の一手が揺れていました。どれも評価値は+100ほどで結局は微差。
▲同角なら△7四飛、▲8八銀などで落ち着いた展開になるようです。ここでは▲4五桂で進めてみます。
上図以下▲4五桂、△4四銀、▲3五歩、△同歩、▲7五角、△5四飛。
▲3五歩では▲5三桂成という手もありますが、△同玉、▲7五角、△6四飛で難しい。
上図から▲2二歩、△同金、▲2四飛、△2三歩、▲4四飛、△同歩、▲6五銀という強襲も有力。ただ、△6四飛、▲同銀、△同歩、▲6六角(▲同角なら△4五歩)に△2八飛~△2四飛成で後手陣が手厚いので大変だ(評価値は-200ほど)。
よって、ここでは落ち着いて▲6六角と引いておいてどうか。△3六歩なら▲2四飛~▲3四飛。そこで△2八角なら▲3二飛成~▲3四歩が厳しい。
こう進むと△3六歩に一手の価値が乏しいので、▲6六角には△7三桂、▲5八金に△7四飛や△6四歩、△6五桂などが有力。これも手が広い。
先手としては、▲3四歩や▲3三歩、▲2二歩で攻めるのか、▲2四飛~▲2七飛ぐらいで収めるのか、展開によって使い分けることになりそう。
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相掛かりの序盤 11
前回の続き。
▲4六銀を見てすぐに△4四歩も自然な手だと思います。
これにも、ゆっくり組んで△4五歩と突かれる展開は避けたいので、先手としては動きを模索しながら駒組みを進めることになります。
以下▲5八金、△4三銀に▲6六角がソフトの好む手。相掛かりの序盤シリーズでたびたび登場している手です。
角道を通したまま▲7七桂と跳ねる手を用意し、後手の飛車を追いやすくする狙いがあります。
上図ですぐ△4五歩なら、▲7七桂、△8二飛、▲4五銀で問題ありません。そこで△9五歩、▲同歩、△9七歩(▲同香なら△6四角のラインが生じる)は気になりますが、落ち着いて▲5六銀と引いておき、△9五香なら▲6五桂から5三の地点を狙って先手戦える模様。
△6四歩なら▲3五歩の仕掛け。この動きの呼吸を覚えたいところ。
△同歩なら▲7七桂~▲3五銀で棒銀成功。
△4五歩は手筋の切り返しだが、▲7七桂、△8二飛、▲3三角成、△同桂、▲5五銀、△6三銀、▲3四歩、△同銀、▲2四歩、△同歩、▲4四銀で先手の調子が良い。
この展開ならやねelmoの評価値も+400ほど先手に振れます。
後手としては、5三の地点が薄い場合の△4五歩はやや危険。よって△4五歩では△6三銀、▲8八銀、△5二金ぐらいが本手順。
そこで▲3四歩、△同銀と進んで下図。
評価値は全くの互角。検討していると、相掛かりの序盤の評価値は大きく振れることが少なく、逆に+200ぐらいに振れるとそのままリードが広がっていく展開が多い気がします。
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相掛かりの序盤 10
今日は△4二銀と上がる形。
▲4六銀型に△4四歩~△4三銀で対抗しに行くのは自然だと思います。
前も書いたように、ぼんやり組んでいては仕掛けどころを逸します。△8五飛が▲3五歩の仕掛けを防いでいる形です。(とはいえ△8五飛型にも▲7七桂が当たるなどのデメリットは存在するので、△8四飛型も有力です)
今日は動き方の一例を見てみます。
上図から▲6八玉、△7四歩、▲3七桂、△7三桂には、やねうらelmoは▲2四歩の仕掛けを示してきます。
今日はこの進行を辿っていきます。
ちなみに、手順中▲3七桂に△7三桂は必要な手で、中央を補強しようと△5二玉では▲7七桂、△8三飛、▲4五桂、△4四角、▲6五桂と両桂を跳ねだして先手ペースです。
似た意味で△6四歩なら同様に仕掛けるのもありますが、落ち着いて▲5八金と上がっておき次に▲4五桂を狙うのが有力です。△4四歩には▲5五銀があるので、後手も簡単には好形には組めません。
以下△同歩、▲3五歩、△同歩、▲4五桂。
以下△8八角成、▲同銀に△2五角がソフトの示す最善手で、▲5八金なら△4四歩と突かれて先手自信なし。よって▲7七桂、△8一飛を入れて▲5五角と打ち、△3三桂(△4七角、▲2四飛、△2二歩…もある)、▲5八金、△5四歩、▲3三桂成、△同銀、▲同角成、△同金、▲6五桂、△5二金…でどうか。形勢は-50~+50ほどでやはり五分。
この順は攻めている分少し先手持ちかもしれない。
△2五角では△3三桂もあり、以下▲同桂成、△同金(△同銀なら再度▲4五桂)、▲2二角、△1四角、▲3八金、△3四桂(△5四桂)、▲3七銀、△3六歩、▲4八銀…が一例。
以下△1二香、▲1一角成、△2三角…が一例。この順も変化は色々とある。
▲3八金のところで▲7七桂、△8一飛を利かしてから▲3八金もありそうだが、△7五歩で目標になってくるのでどうか。これも一局。
どの変化も戦いが始まっているのに評価値が全くと言ってもいいほど振れず、研究しにくくて困ります…苦笑。
桂跳ねが成立していると断言できるのかは分かりませんが、△8五飛型にはこのような順で動いていくのが一つの形と言えるようです。
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相掛かりの序盤 09
最近は下図の相掛かりを先手番でも後手番でも指すことが多いので、少し検討してみます。
飛車先をすぐ切らずに早繰り銀に組む形。
ちなみに、最近立て続けに全国大会を制している横山アマは▲4六銀を保留していることが多いと思います(横山-藤井聡、横山-佐々木大)。
また、以前このブログで検討した時は後手が△8四飛~△7四飛とする順を05~06辺りで検討しました(検討と呼べるほどのものではありませんが…)。
さて、上の図から私が先手を持った時、何も考えずに組むと下図のように進行します。
これはまずい駒組みの例で、先手が動きにくい上、全く主張のない展開になってしまっています。△5二玉の位置も良く、▲6六銀~▲7七桂~▲8九飛のような順を狙うと△4二玉~△3一玉で躱されますし、▲5六角~▲3五歩などを狙うと△6一玉~△7二玉が鉄板です。
やねelmoの評価値も-300ほど。
というわけで、序盤から考え直してみましょう。
まずはここから▲7六歩に△2二銀と上がってきた場合。
△2二銀はややバランスが悪く見える手ですが、角交換してしまうと同じになってしまいます。ここは▲6六歩と止めるのが先手陣と後手陣の違いを際立たせる手。
先手の方が角銀をスムーズに使える感じがしませんか?
以下△4四歩、▲6八銀、△5二金、▲6七銀。
後手は△4一玉、△4二角、△4三金、△5四歩、△6三銀、△3三銀(△3三桂)ぐらいが入ってやっと一人前の形なので、先手からはどこかで▲5六銀~▲6五歩(▲6八飛)や▲2六飛~▲3五歩と動いていくのだろう。
ちなみに▲6六歩に△6三銀はやや危険な手で、すぐに▲6五歩という手があります。
△同歩なら▲7七桂、△8四飛、▲4五桂、△1五角、▲6九玉、△6四銀、▲9七角、△4二角、▲6五桂、△同銀、▲5三桂成、△3一角、▲6三歩が一例で先手良し。両桂を跳ねて5三の地点を狙っていく。
△同飛なら▲3三角成、△同銀、▲7七桂、△6六飛、▲6八銀、△7六飛、▲8二角でどうか。こちらの方が難しい、評価値は+200ほど。
△8四飛、▲6四歩、△同銀、▲6八飛、△6五歩、▲7七桂…の展開もあるが、取れないのなら突きは上手くいっていると言えそう。
これは△2二銀が裏目に出た変化でしょうか。ただ、早繰り銀を見せると△2二銀と上がられることは実はかなり多いです。
△4二銀~△4四歩と歩越し銀に歩で対抗される形もかなり気になるので、いずれ検討してみます。
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