Dimensional Sniper

将棋 / 研究 / 青嶋未来

対角換わり棒銀 02

昔「角換わり腰掛け銀研究」を並べたこともありますし、最近の棋譜もかなり並べているので相腰掛け銀の勝率はかなり良いのですが、意外と棒銀にされた時の勝率が高くないという残念なことに気が付いたので色々考えてみます。

 

最近面白そうだと思ったのは下の記事の指し方。

角換わり左美濃を研究するブログ 4五桂の速攻について・その2

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最近は何でもかんでも桂を跳ねる形が取り沙汰されていますね^^; 棒銀で中央が薄いですから、尚更有力だと思います。

難点は一手の遅れで成立しなくなりそうな点。▲7八金が入っている場合や先後逆の場合は使えなさそう。ただ覚えておいて損はなさそうです。

最速の▲4六銀

先手中飛車が、一直線穴熊模様の駒組みに対して最速で銀を繰り出す形。

先日初めて指されたのですが、その場で考えて指した対応が良かったようなのでメモしておきます。

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▲2八玉すら後回しにするのが工夫。

後手が淡々と組むと△3三角、▲3六歩、△2二玉、▲3五歩、△同歩、▲同銀で下図。

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▲2八玉が入っていれば(もしくは先後逆なら)△1二香と上がっているのでここで△1一玉が可能。しかしこの場合は間に合っておらず、△3四歩と打たざるを得ないようでは作戦負けの気配。

 

そこで本譜は▲4六銀に△7四歩で急戦にシフト。

以下▲2八玉、△7三銀、▲3六歩、△4二銀、▲6八金、△6四銀、▲5七金、△8六歩と仕掛けた。

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△4二銀は▲3八飛に△3三銀を用意した意味。ただし省略するのもあるかもしれない。

先手の受け方も色々ありそうだが、▲6八金~▲5七金は妥協しない順。ただ▲7八金しても受け止められるかどうか怪しいし、▲8八飛はかなり妥協の上5筋の位が危うい。

ただ△8六歩と仕掛けた図は居飛車ペースだと思う。以下▲同歩、△7五歩、▲6六金が自然な対応だが、△7六歩、▲同金、△7二飛、▲5六飛なら△7八歩が受けにくい。

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実戦は△7五歩のところで△6五銀と出て微妙な進行になったが、本譜のように進めれば居飛車ペースだったと思う。

 

対角換わり棒銀

実戦より。私後手です。

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序盤の折衝で▲7八金が保留されている形。つまり通常より一手早く棒銀に来られた。

実戦は△1四歩と突き返す方の定跡で進めた。つまり△1四歩、▲1六歩、△7四歩、▲1五歩、△同歩、▲同銀、△同香、▲同香、△1六歩の順。

△7四歩は次に△7五歩の狙いがあるので▲7八金で通常形に戻してくるかと思ったが、一直線に▲1五歩。そして△1六歩に通常は▲1八歩と受けるところ、▲1二香成とやってきた。

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これなら△1七歩成、▲同桂、△1九角、▲2七飛、△1八銀で後手良しのはずだがこの場合は▲4六角で切り返される。

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以下△2七銀成、▲8八角成、△3三角成、▲同馬、△同成銀で馬は消せるが▲1一飛ぐらいでも自信がない。

よって△1九角では△3五角としておくのだろうが、以下▲1八歩、△5七角成、▲5八香、△4七馬、▲3八金などと進んでどうか。

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馬も大きいし△1六歩も残っているが、右銀の立ち遅れも気になるところ。まあ上の順よりはこの順を選んだ方が良いだろう。

 

さて、実戦では△1四歩の定跡を選んだが、8七の地点が空いている意味でも△5四角を選ぶのが普通なのかもしれない。こちらを調べるとなかなか面白い変化があった。

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ここで▲3八角ならほとんど通常形に戻りそうだが、後手陣が中途半端な点に着目して▲2六飛という無筋な手が成立するようだ。

以下△2二銀で1五の銀が立ち往生するため困るというのが定跡だが、▲5五角のラインが空いているため▲2四歩と突けそう。

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ここで△同歩や△7三銀など後手にも選択肢があるが、こうなると△5四角があまり利いていないような気がする。

 

角換わり棒銀は愛用者も多いようで案外よく指される。受け方も色々あり、△1四歩は一手の違いが重要な乱戦模様、△5四角は大体の形で使える無難なチョイス、先手が少し待った場合に使いやすい右玉、しくじったのでとりあえず△2二銀…など受ける側としては結構考えがいのある将棋だ。

角換わり棒銀は大体腰掛け銀の本の冒頭でさらっと触れられるだけであまり読んだことがない(笑)が、探してみて何かいい手順があったらまた書いてみようと思う。

千田流△6二金~△8一飛 05

ややこしそうな「③▲6六歩には△6五歩で先攻」の形。

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▲同歩には△同桂も△同銀もありそう。

一番無難な変化は△同桂に▲6六銀、△6四歩の順。この順はすぐに決まるような形ではないしプロの実戦に類型も多いが、後手に△8六歩から一歩持つ順があって先手やや妥協と取るのが普通だと思う。

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ただ実際の形勢は難しいのではないか。プロの類型だと相手側が専守策を取っている場合が多いが、この形は先手にもいきなり▲3五歩などの攻め筋がある。これは研究のし甲斐がありそうだ。

千田流への応手として有名なのは△同桂に▲同銀と取って△同銀、▲6三歩、△7二金、▲6四桂といった順だが、この場合は6八玉型で当たりが強いので指しにくい。

 

△同桂では△同銀と激しくいく順も考えてみたいところ。お互いに角銀を持つと▲6三銀(△4七銀)の筋が生じるので怖いところだが、後手は桂を先に跳ねているので▲6三銀には△7三金と強く躱せる。

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以下▲6六銀なら△4七銀と放りこむ。▲6六銀のところで▲6三歩を利かす手もありそう。この辺りは非常に微妙だ。

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以下▲4九金、△6四歩とした局面で先手がどう指すか。▲6三歩や▲9五角といった左辺を攻める手、▲3五歩や▲4五桂など右辺に手を付けておく手などパッと見ただけでも非常に手が広く、厄介な局面だ。

 

△同桂と△同銀のどちらを選ぶかは難しい。棋風で選んでもいいと思う。

一直線穴熊 ▲8六角の揺さぶり 02

元々▲8六角と出る手はやや変化球のイメージだったのですが、青嶋本を読むと、むしろ出れるときには積極的に狙うべき手だという考えに変わりました。

一例は下の局面。

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ここで▲8六角と出て、△7三銀に▲6五歩と突く形が書かれています。01で書いた青嶋-渡辺誠戦と同じ進行ですね。

▲6五歩に△同歩なら、▲3一角成ではなく▲2四歩~▲3三桂という進行。

 

さて、以下が本題。上図を見て、私が先日指した将棋を思い出しました。その一局面が下図。

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後手は△5四飛と浮く手を保留しているのが大きな特徴。いずれ同じになるだろうと▲4六角型に組みに行ったのですが、△5四飛~△5二飛と引く変化に比べると後手が丸丸手得しており、その差でビッグ4に組まれて作戦負けに陥りました。

先手としても、▲4六角型でなく▲3八飛や▲2六角~▲4五歩の形にすれば結局△5四飛と指す展開になったと思いますが、少し作戦を限定されるのが癪。

どう見てもここは▲8六角と出るチャンスでした。

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実戦中は△7三銀、▲6五歩、△同歩、▲2四歩の変化を考えて△同角で自信ないかな…と思っていたのですが、△同歩に普通に▲3一角成、△5一飛、▲3二馬と焦らしておいて先手悪くないようです。6筋の位は気持ち悪いものの、▲7七銀で補強可能。

過去の実戦では9割9分早めに△5四飛と浮かれているのですが、実際問題△5四飛の必然性はよく分かっていませんでした。定跡本でも特に解説なくいつの間にか浮いていますし。△5四飛が遅い場合の咎め方は▲8六角ということでいいのでしょうか。

一直線穴熊 △6四角型 06

またもや前の話題に戻ります。この形は好きな形なのです。笑

ようやく「青嶋の結論」を読めたのでメモしておきます。

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青嶋本は△4四飛と▲4八飛の交換が入っているので最終手が▲4六角ではなく▲2八飛になります。この角を出るところで先に▲2四歩を入れるのは損になるという話があり、これは自分の認識も同じなのでほっとしました。

05に手順は書いてあるので途中すっ飛ばして下図。

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以下▲2一馬、△5九歩成、▲5四馬に「角を逃げる必要がある」と書きましたが、▲6三桂には△3三角が幸便なので逃げる必要はないとのこと。▲5四馬に△6九と、▲4四歩、△3九龍、▲1八飛、△2九龍、▲4三歩成からじわじわ攻めて先手良しという結論。

しかし▲4四歩が痛いという事ならやはり▲5四馬に△3三角に戻りそうな気も。不安定な角なので難しいところですが。

 

もう一つ気になったのは下図。同じ形から、△5八歩のところで△3三角~△5五角と出た例です。

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私の研究は、▲3七香と手放しておいて次に▲5四馬と引く狙いで先手悪くないというもの。実際評価値も先手持ちなので悪手という訳ではないと思います。

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しかし青嶋本には▲3七香でなく▲1八飛が優るとあります。

これには△2九龍、▲4八飛に敢えて途中下車する△3七角成(下図)が好手で、▲4九飛成に△3六馬としておいて▲5四馬を防がれては芳しくないというのが高見本の結論でしたが…

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△3六馬に▲9五歩!から端を攻め、少し薄くしてから最後に▲4五歩と止めておけばというのが青嶋の結論。高見本の形は9筋の付き合いが入っていなかったのかもしれません(手元にないので確認できませんが)。

まとめると、突き合いがないor突き越されているなら▲3七香でじっくり、突き合っているなら▲1八飛という結論になるのでしょうか。勉強になりました。

千田流△6二金~△8一飛 04

続きです。

次にわかりやすそうな「④▲4五銀には△5五銀で後手良し」を考えてみます。

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角換わりではあまり見ない筋かもしれません。先手としては4六の歩を守る手段はないので、力強く▲6六銀が第一感。そこで△4六銀にどうするか。

そこでじっと▲5六銀としておいて後手も指す手が難しいかと思ったのだが技巧指摘の△4四銀が好手なようだ。

とりあえずここに銀を出ておけば、△4六銀が殺される展開には相当ならない。(例えば先手に一歩持たれて▲4七歩とされた時に△6五歩と突いて大丈夫。▲7七銀には△5五銀で助かる仕掛け)

また、△3三桂の活用を見込んでいるのもあるだろう。

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以下自然な▲2四歩、△同歩、▲同飛には△6五歩~△6四角が厳しい。

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先手は玉の近くが戦場になるのがつらいところ。場合によっては△6五歩でなく△6五桂として5七の地点を狙われる場合もありそうだ。

 

段々内容が薄くなっていますが、①、④、⑤に関してはこんな感じで概ね問題ないと思います。④、⑤に比べれば①は互角以上のものではないですし、上手く打開されればそれまでではありますが。

ただ②と③はややこしいのですぐには更新せず暫く考えてみようと思います。笑