相掛かりの序盤 05
相掛かりの最序盤について、今度は後手番目線で書いてみます。
実戦で指す機会が増えてくれば、前回までの形からもう少し進んだ局面も考えてみたいところです。相掛かりになる機会が少ないのでなかなか難しいかもしれませんが。
しばらく局面図は先後逆で載せていきます。相掛かりに後手番編もへったくれもないでしょうが、私のメモ用ですのでご容赦ください。
先手が▲3八銀~▲5八玉と構える形に対してどう対応するか、ということを考えてみます。最序盤にもほどがありますので、出てくるどの局面も手が広くどの手でも評価値が変わらないということもありますが。
後手も色々手がある所でしょうが、浮かむ瀬は迷わず△8六歩を挙げてきますので、その順で進めていきたいと思います。
実際、△6二玉と上がる可能性もあるので△5二玉は保留したいですし、△3四歩も横歩取りを狙われそうで微妙。後手から端歩を突くのも緩手になる可能性が…ということで、動かす駒も難しいですし歩交換は妥当なところかもしれません。
以下▲同歩、△同飛、▲8七歩、△8四飛、▲3六歩。
▲3八銀~▲5八玉~▲9六歩~▲3六歩の順は佐々木大地先生が連採しているそうです。▲9六歩は△8六歩~△同飛~△3六飛の筋を防いだものでしょうが、この場合は既に歩交換しているので▲9六歩を省略して▲3六歩と突くのは自然か。
以下△6二玉、▲3七銀と進んだ局面で、浮かむ瀬は△7四飛という一風変わった手を指摘してきます。
一手前、▲3七銀のところで▲7六歩にも△7四飛です。以下▲7七金なら、どこかで△8四飛と戻っておく手が狙いになります(▲7八金なら千日手)。
ちなみに△6二玉のところで△7四飛には▲4六歩~▲4七銀で飛車を圧迫される順がありそう。▲3七銀を見てからの方が無難でしょうか。
△7四飛自体は難しい手ですが…▲3六歩を牽制しつつ後手陣の駒を動かさずに待機した手、といったところでしょうか。
以下一例は▲4六銀、△1四歩、▲6八玉、△3四歩、▲7六歩、△同飛。
▲6八玉のところ、▲3五銀で2筋を狙うのは△3四歩で大丈夫。また上図で▲2二角成、△同銀、▲8二角には△7八飛成~△9二金があります。以下▲2二角成、△同銀、▲8八銀…が一例か。
先手の駒組みは▲6八銀~▲6九玉も考えられるところ。この辺りの先の進行は次回考えてみます。
どうにも最近の相掛かりは、飛車先交換のタイミング・角道を開けるタイミング・右銀の使い方の三点が難しい印象があります。感覚が付いて行けていませんね。笑
なお、今日の以上の局面の評価値は-50~+50でほとんど動きません。千日手順を示すことも良くあるほど。均衡を崩さない指し回しをソフトに学びたいところです。
相掛かりの序盤 04
今回はさらっと。
△8五飛や△7六飛などとすぐに飛車を動かさず、△1四歩や△6二玉、△4二銀などで待つのも普通の手。
これには▲4七銀と引いておいて、落ち着いた展開になるようです。
▲4七銀、△4二銀、▲6八玉、△6二玉、▲1六歩、△4四歩が一例。
後手も桂頭の不安を解消でき、先手も右銀の用途の目途が立ちます。後手がひねり飛車を目指すのなら▲4七銀に△3五歩もありそう。このあたりは以前の変化と合流する可能性もありそうです。
以下▲9六歩、△8二飛、▲8七歩、△4三銀、▲5六銀といったところか。
どこかで△7六飛と取る順にはやはり▲6六角と出ておいて後手の飛車が少し狭い。駒組みが進んでくると△7六飛とは取りにくくなるようです。
01~04の形をざっとまとめると、▲4六歩を早めに突いて右銀を使う、▲6六角は好位置、横歩を取られるのは恐れすぎない、玉は6八に上がる、といったところでしょうか。
次回からは後手を持って▲3八銀~▲5八玉の駒組みにどう対応すればよいのか考えてみます。
相掛かりの序盤 03
淡々と続けます。このシリーズは具体的な手順の検討というより、序盤の大雑把な感覚を身に着けようとするものに近くなりそうです。
再び下図の局面。
前回は△7六飛の進行をざっと載せましたが、今回はここで△8五飛とする順について考えてみます。
次に△8六歩が嫌味なので▲8七歩と受けますが、以下△3五歩、▲4七銀、△8四飛とひねり飛車模様に組み替えてきます。
ここで浮かむ瀬の候補手はやはり(?)▲6六角。△7四飛に備えている意味合いもあるのでしょうか。
後手は当然△2四飛のぶつけ。
浮かむ瀬の第一候補手は断固▲同飛で、以下△同歩に▲3九金や▲2八歩、▲6八銀辺りを読んでいます。評価値は±0~-50ほど。
ただ、▲3九金や▲6八銀には△2七飛~△2五飛成~△3四龍が手厚くて先手容易ではなさそうですし、▲2八歩には将来の△1五歩~△1六歩が怖いところ。
評価値が離れている訳ではないですし、先手も飛車が手持ちなので大変なのでしょうが少しやりにくい気がします。
飛車のぶつけには、▲2六歩と受けるのも悔しいですが自然な手。
評価値は一瞬-150ぐらいに振れますが、読ませているうちに-50ほどに落ち着きます。実際後手の主張を通すので嫌な感じはするのですが。これは激しい展開にはならなさそうなので、以下は駒組みに移行します。
一例を進めると、▲2六歩、△6二玉、▲8六歩、△4二銀、▲8八銀、△7一玉、▲9六歩、△5四歩、▲8七銀、△5三銀、▲6八玉。
長手順進めましたが、自然な順だと思います。銀冠が間に合えば先手にも主張はできるでしょうか。評価値は-50前後。
後手は△6四銀~△7四歩~△3一角~△7五歩のように動いてくるのでしょうか。先手からは▲3六歩があるので後手はいずれ△3四飛と戻りそう。先手はしっかり囲えればそれでも▲3六歩~▲3八飛と仕掛けるのかもしれません。
一昔前のひねり飛車に比べると、後手が得をしている点が多い感じもしますね。
相掛かりの序盤 02
続きです。
前回の最終図の下図の局面は、いつも先手を持って指し手が分からず困っていたところです。が、ソフトに掛けてみると何ら変哲のない序盤のようにも見えてきて、何故いつも苦慮しているのかよく分からなくなってきました。笑
というわけで、需要は全くないかもしれません。が、元々メモ用なのでと開き直って書いています。
ここは色々手が示されたが、もう銀は前進できないのですぐ▲4六歩が分かりやすいか。浮かむ瀬の最終的な第一候補もこの手に落ち着いた。
以下△7六飛なら▲6六角が工夫の手。ソフトは類型でもこの手を示すことが多いようです。4六の歩を守ること、飛車の可動域を狭めること、すんなり△8四飛とさせないこと、が狙いでしょうか。
以下△6四歩、▲4七銀、△6五歩、▲7七角、△7四飛、▲8八銀、△3五歩が一例。
評価値は-50~+50と五分。
6六の角が好位置という判断なので、△6四歩~△6五歩という手順に繋がるのだろう。上図は先手の手得と後手の歩得で、バランスが取れているように思います。
この手順で、例えば▲6六角のところを▲4七銀では、△8六飛、▲8七歩、△8五飛となって先手やや不満です。評価値も-100~-200ぐらい。
8筋に歩を打たされていることと、スムーズに△2五飛とぶつけられることがその理由でしょうか。
また、△6五歩のところを△8六飛から普通に飛車を引く順では、以下▲8八銀、△8二飛、▲3六歩などと進んで、桂頭が不安になり後手が不満。
△8二飛と引かずに△8六飛のままで頑張る手もありますが、▲8四歩の退路封鎖もありますし、▲8七銀や▲7七桂からすぐに圧迫できる形なので後手が怖いと思います。
この進行は6六の角の位置の良さが出ている感じがしますね。
相掛かりの序盤 01
話題が分散しすぎて自分でも何を書いていたのかよく分かっていませんが…。一応「対先手中飛車左美濃」のシリーズはまだ続けていく予定です。最近書いていませんが、角換わりについてもまた書くことがあるでしょう。
さて、千田先生は「人間の相掛かりは下手」と仰っているそうで、実際ソフトに検討させていてちょっと付いていけない読み筋が一番多いのが相掛かりだと感じます。
相掛かりは昔からよく指すのですが、最近は見知らぬ構想に慌てることが非常に多いので、浮かむ瀬と一緒に研究していきたいと思います。
私は先手で引き飛車の相掛かり棒銀を採用することが多いので、下図が基本図になります。
飛車先を切らずに▲3八銀~▲5八玉などが流行っている現状、既に「古い」と言われてしまいそうですが…笑
まあさすがに上の局面で評価値が振れるということはないですし、プロの実戦例通り下図のように進む変化は+100~+200ぐらいなので、不優秀という訳ではないのでしょう。
山崎-村山(B1)、渡辺-小林裕(C1)、山崎-松尾(B1)など。▲5六銀でなく▲3六銀と引いた例もあったと思います。記憶で書いているので間違っていたらごめんなさい。
さて、話を戻します。▲3六銀の局面でソフトが示すのは、△3三桂という手です。
後手としては、銀の進軍を止めて右辺で良くしにいこうという構想。場合によっては△1四歩~△1三角以下ひねり飛車風味に組む順も狙っているようです。
上図以下▲7六歩に、後手としては△7四歩~△7三銀と銀を使ってくる順と、△8六歩と一歩換えて横歩取りを狙う順が有力でどちらも実戦で指されたことがあります。
まずは△7四歩、▲7七角、△7三銀。
以下▲6八銀、△6四銀、▲6六歩で下図に進むのが一例。
この辺り、ぼやぼや▲4六歩や▲5八玉では△6四銀~△7五歩で先手の角が目標になり痺れます。△3三桂で角道が止まっているのが痛いところ。
ただ▲6八銀~▲6六歩を急いで▲6七銀の形を用意しておけば先手悪くないようです。評価値は+100~+200ぐらい。
局面が落ち着いて駒組みに移行すれば、△3三桂が負担になります。△3三桂と△7三銀の相性はそこまで良くないのかもしれません。
よって後手としては△8六歩が良さそう。こちらが浮かむ瀬の第一候補です。
以下▲同歩、△同飛で下図。
ここは先手の指し手が難しい局面です。後手は△7六飛や△7四歩~△7三桂、△1四歩~△1三角など色々な組み合わせがあるので、ぬるい駒組みではすぐ作戦負けになりそう。
続きます。
対先手中飛車左美濃 06
話題があちこちに飛んでしまい、分かりにくくてすいません。
この形の最序盤で気になっているのが、下図のようにいきなり▲5五歩~▲5四歩と歩を換えてくる変化。
私が実戦で指されたことはあまりありません。後手の角道が通っていないので先手の角が捌きやすくなるわけでもなく、中飛車側からしてみるとそこまで突きたい歩ではないのかも。しかし目標とする5五の歩が消えるので、居飛車としては気になる順ではないでしょうか。
以下△同歩、▲同飛、△6四銀、▲5九飛。
ここは居飛車の分岐点で、△7二飛から7筋を攻める順と、△7三桂と跳ねておく手があるようです。いきなり△7五歩、▲同歩、△8六歩、▲同歩、△7六歩の仕掛けも有力です。
ここは浮かむ瀬の候補手も揺れているところで、どれもありそう。ここでは面白い構想があったので△7三桂を進めてみます。
上図以下△7三桂、▲7八金、△3二玉、▲3八玉、△1四歩、▲1六歩、△1三角。
3四の歩を突くと先手の角筋が通る上▲5四飛などで狙われる場合もあるため、突かずに端から角を使う。
以下▲6六歩、△2二玉、▲2八玉、△3二銀、▲3八銀、△3五角。
いかにもソフトチックな序盤。評価値はほぼ五分。人間の力で角を上手く使えるのか若干の不安はありますが、仕掛けの主導権は後手が握っていると思います。
上図では▲6八銀が自然だが、それには△7五歩と仕掛ける。以下▲同歩には△7六歩~△8六歩、▲6七銀なら△7六歩~△8四飛ぐらいでどうか。
▲6八角とぶつける手には△4四角と躱しておく。これは△7五歩や△5五銀を狙う将棋だろうか。
先日紹介した伊藤真-村山戦もそうでしたが、この端角の構想は一度試してみたいです。
さて、どうでも良いことですが、前々回で百回目の記事更新だったようです。私が自分のためにまとめているメモに過ぎない(最近は特のその傾向が顕著)のですが、読んで下さっている方もいるようなので、ぼちぼち続けていきたいと思います。
対角交換四間・備忘録
これも実戦で非常によく出現するのでメモ。
居飛車が銀冠穴熊を目指した序盤に対して、四間飛車側が△3二銀型で待機して角交換を狙うのはよくある手法。
上図から進めて下図。手損している関係で完全に同一局面ではないですが、増田-石田直(新人王戦)が一例。
先手は右金も囲いにくっつけて堅めに行く順も一局。
上の棋譜の感想戦に出ている順ですが、ここで先手から動く順として▲1五歩、△同歩、▲4五桂という筋があります。
△同飛に▲3二角と打ち込むのが狙い。以下△1二角、▲2四歩、△同歩、▲2二歩、△同銀。▲1四角成、△2三銀、▲1五馬、△1四歩、▲3七馬は浮かむ瀬の示した順で、形勢は+200~+300ぐらい。
▲2二歩では▲1三歩もあり、以下△同桂、▲1四角成、△2一角、▲2三馬、△4三飛…の進行。
△1二角は打ちたくない角ですが、▲2一角成~▲1一馬に優る攻めがないので仕方ないところ。
さて、この仕掛けは私がよく実戦で採用していた順ですが、最初の図の浮かむ瀬の最善手は実は▲4五桂ではなく、▲2七飛や▲9八玉、▲6八銀などと手待ちをする手です。すぐに仕掛けるのではなく、少し待って後手陣の乱れを誘い、そのタイミングで▲4五桂と仕掛けられればより良くできるという思想らしい。確かに、△6二金や△9二玉の形で仕掛けられれば明快に得です。
角交換のタイミングや金の動きによっては、最初の図がそもそも後手番ということもよくありますが…。