Dimensional Sniper

将棋 / 研究 / 青嶋未来

相掛かりの序盤 02

続きです。

 

前回の最終図の下図の局面は、いつも先手を持って指し手が分からず困っていたところです。が、ソフトに掛けてみると何ら変哲のない序盤のようにも見えてきて、何故いつも苦慮しているのかよく分からなくなってきました。笑

というわけで、需要は全くないかもしれません。が、元々メモ用なのでと開き直って書いています。

f:id:honey1728:20170426214905p:plain

ここは色々手が示されたが、もう銀は前進できないのですぐ▲4六歩が分かりやすいか。浮かむ瀬の最終的な第一候補もこの手に落ち着いた。

f:id:honey1728:20170426214906p:plain

以下△7六飛なら▲6六角が工夫の手。ソフトは類型でもこの手を示すことが多いようです。4六の歩を守ること、飛車の可動域を狭めること、すんなり△8四飛とさせないこと、が狙いでしょうか。

f:id:honey1728:20170426214907p:plain

以下△6四歩、▲4七銀、△6五歩、▲7七角、△7四飛、▲8八銀、△3五歩が一例。

f:id:honey1728:20170426214908p:plain

評価値は-50~+50と五分。

6六の角が好位置という判断なので、△6四歩~△6五歩という手順に繋がるのだろう。上図は先手の手得と後手の歩得で、バランスが取れているように思います。

この手順で、例えば▲6六角のところを▲4七銀では、△8六飛、▲8七歩、△8五飛となって先手やや不満です。評価値も-100~-200ぐらい。

f:id:honey1728:20170426214920p:plain

8筋に歩を打たされていることと、スムーズに△2五飛とぶつけられることがその理由でしょうか。

 

また、△6五歩のところを△8六飛から普通に飛車を引く順では、以下▲8八銀、△8二飛、▲3六歩などと進んで、桂頭が不安になり後手が不満。

f:id:honey1728:20170426214921p:plain

△8二飛と引かずに△8六飛のままで頑張る手もありますが、▲8四歩の退路封鎖もありますし、▲8七銀や▲7七桂からすぐに圧迫できる形なので後手が怖いと思います。

 

この進行は6六の角の位置の良さが出ている感じがしますね。

相掛かりの序盤 01

話題が分散しすぎて自分でも何を書いていたのかよく分かっていませんが…。一応「対先手中飛車左美濃」のシリーズはまだ続けていく予定です。最近書いていませんが、角換わりについてもまた書くことがあるでしょう。

 

さて、千田先生は「人間の相掛かりは下手」と仰っているそうで、実際ソフトに検討させていてちょっと付いていけない読み筋が一番多いのが相掛かりだと感じます。

相掛かりは昔からよく指すのですが、最近は見知らぬ構想に慌てることが非常に多いので、浮かむ瀬と一緒に研究していきたいと思います。

 

私は先手で引き飛車の相掛かり棒銀を採用することが多いので、下図が基本図になります。

f:id:honey1728:20170426040733p:plain

飛車先を切らずに▲3八銀~▲5八玉などが流行っている現状、既に「古い」と言われてしまいそうですが…笑

まあさすがに上の局面で評価値が振れるということはないですし、プロの実戦例通り下図のように進む変化は+100~+200ぐらいなので、不優秀という訳ではないのでしょう。

f:id:honey1728:20170426041320p:plain

山崎-村山(B1)、渡辺-小林裕(C1)、山崎-松尾(B1)など。▲5六銀でなく▲3六銀と引いた例もあったと思います。記憶で書いているので間違っていたらごめんなさい。

 

さて、話を戻します。▲3六銀の局面でソフトが示すのは、△3三桂という手です。

f:id:honey1728:20170426040734p:plain

後手としては、銀の進軍を止めて右辺で良くしにいこうという構想。場合によっては△1四歩~△1三角以下ひねり飛車風味に組む順も狙っているようです。

上図以下▲7六歩に、後手としては△7四歩~△7三銀と銀を使ってくる順と、△8六歩と一歩換えて横歩取りを狙う順が有力でどちらも実戦で指されたことがあります。

 

まずは△7四歩、▲7七角、△7三銀。

f:id:honey1728:20170426043426p:plain

以下▲6八銀、△6四銀、▲6六歩で下図に進むのが一例。

この辺り、ぼやぼや▲4六歩や▲5八玉では△6四銀~△7五歩で先手の角が目標になり痺れます。△3三桂で角道が止まっているのが痛いところ。

ただ▲6八銀~▲6六歩を急いで▲6七銀の形を用意しておけば先手悪くないようです。評価値は+100~+200ぐらい。

f:id:honey1728:20170426040735p:plain

局面が落ち着いて駒組みに移行すれば、△3三桂が負担になります。△3三桂と△7三銀の相性はそこまで良くないのかもしれません。

 

よって後手としては△8六歩が良さそう。こちらが浮かむ瀬の第一候補です。

以下▲同歩、△同飛で下図。

f:id:honey1728:20170426040736p:plain

ここは先手の指し手が難しい局面です。後手は△7六飛や△7四歩~△7三桂、△1四歩~△1三角など色々な組み合わせがあるので、ぬるい駒組みではすぐ作戦負けになりそう。

 

続きます。

対先手中飛車左美濃 06

話題があちこちに飛んでしまい、分かりにくくてすいません。

 

この形の最序盤で気になっているのが、下図のようにいきなり▲5五歩~▲5四歩と歩を換えてくる変化。

f:id:honey1728:20170423234138p:plain

私が実戦で指されたことはあまりありません。後手の角道が通っていないので先手の角が捌きやすくなるわけでもなく、中飛車側からしてみるとそこまで突きたい歩ではないのかも。しかし目標とする5五の歩が消えるので、居飛車としては気になる順ではないでしょうか。

以下△同歩、▲同飛、△6四銀、▲5九飛。

f:id:honey1728:20170423234054p:plain

ここは居飛車の分岐点で、△7二飛から7筋を攻める順と、△7三桂と跳ねておく手があるようです。いきなり△7五歩、▲同歩、△8六歩、▲同歩、△7六歩の仕掛けも有力です。

ここは浮かむ瀬の候補手も揺れているところで、どれもありそう。ここでは面白い構想があったので△7三桂を進めてみます。

上図以下△7三桂、▲7八金、△3二玉、▲3八玉、△1四歩、▲1六歩、△1三角。

f:id:honey1728:20170423234055p:plain

3四の歩を突くと先手の角筋が通る上▲5四飛などで狙われる場合もあるため、突かずに端から角を使う。

以下▲6六歩、△2二玉、▲2八玉、△3二銀、▲3八銀、△3五角。

f:id:honey1728:20170423234057p:plain

いかにもソフトチックな序盤。評価値はほぼ五分。人間の力で角を上手く使えるのか若干の不安はありますが、仕掛けの主導権は後手が握っていると思います。

上図では▲6八銀が自然だが、それには△7五歩と仕掛ける。以下▲同歩には△7六歩~△8六歩、▲6七銀なら△7六歩~△8四飛ぐらいでどうか。

▲6八角とぶつける手には△4四角と躱しておく。これは△7五歩や△5五銀を狙う将棋だろうか。

 

先日紹介した伊藤真-村山戦もそうでしたが、この端角の構想は一度試してみたいです。

 

さて、どうでも良いことですが、前々回で百回目の記事更新だったようです。私が自分のためにまとめているメモに過ぎない(最近は特のその傾向が顕著)のですが、読んで下さっている方もいるようなので、ぼちぼち続けていきたいと思います。

対角交換四間・備忘録

これも実戦で非常によく出現するのでメモ。

 

居飛車が銀冠穴熊を目指した序盤に対して、四間飛車側が△3二銀型で待機して角交換を狙うのはよくある手法。

f:id:honey1728:20170423174349p:plain

上図から進めて下図。手損している関係で完全に同一局面ではないですが、増田-石田直(新人王戦)が一例。

f:id:honey1728:20170423174228p:plain

先手は右金も囲いにくっつけて堅めに行く順も一局。

上の棋譜感想戦に出ている順ですが、ここで先手から動く順として▲1五歩、△同歩、▲4五桂という筋があります。

f:id:honey1728:20170423174229p:plain

△同飛に▲3二角と打ち込むのが狙い。以下△1二角、▲2四歩、△同歩、▲2二歩、△同銀。▲1四角成、△2三銀、▲1五馬、△1四歩、▲3七馬は浮かむ瀬の示した順で、形勢は+200~+300ぐらい。

▲2二歩では▲1三歩もあり、以下△同桂、▲1四角成、△2一角、▲2三馬、△4三飛…の進行。

f:id:honey1728:20170423174231p:plain

△1二角は打ちたくない角ですが、▲2一角成~▲1一馬に優る攻めがないので仕方ないところ。

さて、この仕掛けは私がよく実戦で採用していた順ですが、最初の図の浮かむ瀬の最善手は実は▲4五桂ではなく、▲2七飛や▲9八玉、▲6八銀などと手待ちをする手です。すぐに仕掛けるのではなく、少し待って後手陣の乱れを誘い、そのタイミングで▲4五桂と仕掛けられればより良くできるという思想らしい。確かに、△6二金や△9二玉の形で仕掛けられれば明快に得です。

 

角交換のタイミングや金の動きによっては、最初の図がそもそも後手番ということもよくありますが…。

対先手中飛車左美濃 05

最近中継されていた将棋より。二例。

 

まず、下図は上田-加藤戦(女流、マイナビ杯)。ご覧のとおり、このシリーズで取り上げている序盤戦術に近い順です。

f:id:honey1728:20170422202234p:plain

ここから先手は▲5五歩~▲6五歩~▲5六銀の順で対抗。但し、本譜は加藤先生が穴熊を志向したのでこのシリーズとは別の将棋になりました。

f:id:honey1728:20170422202235p:plain

上図以下、△7五歩~△8六歩~△8四銀の動きで後手が快勝。

 

さて、上の将棋の翌日に行われたのが伊藤真-村山戦(棋王)。

f:id:honey1728:20170422202245p:plain

序盤の細かい所ですが、村山先生の△7三銀のタイミングは上図。このあたりで▲5四歩と突く順はそれほど上手くいかないようです。私はよく指されるので、5筋交換の順もまた検討したいと思います。

以下▲6六歩、△4四歩…から駒組みが進んで下図。

f:id:honey1728:20170422202258p:plain

先手は上田-加藤戦と同じ駒組みですが、後手の駒組みが大きく異なっています。△3四歩と突かずに△1三角から手を作る構想で、一昔前の深浦新手と似たものを感じますね。

以下▲5八金左、△1三角、▲6九飛、△2二玉、▲1六歩に△8六歩から仕掛けました。

f:id:honey1728:20170422202259p:plain

軽そうだが十分手になっている。以下▲同歩に△5四歩から歩を手に入れて△8八歩の要領。

△7三銀は置いたままにしておいて、先手の捌きを抑えるという考え方。

 

▲5五歩~▲6五歩~▲6八飛と大きく模様を張ってくる順には、この構想が優れているようです。

銀冠穴熊vs四間穴 03

メモの続き。いつものことですが内容薄いです。

 

下図で▲2四歩と突かない場合の進行の一例を考えてみます。

f:id:honey1728:20170420211621p:plain

先日教わった手で、浮かむ瀬では第二候補に挙がるのは▲7六歩、△7二飛、▲8八角の順。

f:id:honey1728:20170420211623p:plain

この順がなかなか有力であるように思います。先後逆でも使いやすいのも大きなメリット。

四間穴側は7筋からのコビン&角頭攻めが一番の狙いなので、それを事前に躱しておくのが大きいとのこと。

今ぼんやり駒組みすると、△5四銀、▲6六銀、△6五歩、▲7七銀、△4五歩、▲9六歩。

f:id:honey1728:20170420211624p:plain

先手陣は非常に堅い上、▲8五歩~▲9七角と▲2六飛~▲3六飛を見ていつでも手が作れる形。形勢は既に+400~+500とかなり先手に振れる。

△6五歩のところで△6五銀でも、▲同銀、△同歩、▲2六飛ぐらいで先手の角道が通っており不満なし。そこで△6四銀と打つのは部分的な形だが、あらかじめ角が遠ざかっているのでやりにくい。

 

振り飛車側の代替案としては、居飛車の駒が偏っているのを見て△3二飛~△3五歩なども考えられるだろうか。

f:id:honey1728:20170420211625p:plain

居飛車の対応は色々ありそう。

以下▲2六飛(△3六歩~△1五角の防ぎ)、△1五角、▲1六飛、△5一角、▲6六銀、△3四飛、▲8五歩と左辺から手を作るのは一例。

f:id:honey1728:20170420211627p:plain

上図から▲7五銀や▲9七角、▲5五歩を絡めて手が作られればうまい。

 

また、▲6六銀のところで▲8五歩、△3四飛、▲7七角と銀を動かさずに待機し、△3三桂なら▲4六銀と出るのも面白い。

f:id:honey1728:20170420212251p:plain

放置すると▲6八角で困るので△4五歩だが、▲同銀と取って▲1一角成~▲1三飛成があり先手良し。

 

▲8八角は一見違和感のある手ですが、かなり有力なようです。

銀冠穴熊vs四間穴 02

続きです。

f:id:honey1728:20170417013356p:plain

以下▲2四歩、△同歩、▲2二歩の変化。

f:id:honey1728:20170417013355p:plain

後手としては何か手を作らなければならない局面。

以下△2五飛、▲同飛、△同歩、▲2一歩成、△2八飛は自然。

f:id:honey1728:20170417013357p:plain

この局面の形勢は難しそう。先手の方が少し堅いが、後手は△2四角ですぐに角が使えるのに対して先手の角は負担になりそうな位置。ちなみに浮かむ瀬の評価値は+400ぐらい。

以下の手順はソフトも揺れているぐらいなので難しい。

一例は▲1一と、△2九飛成、▲6八銀、△6五桂、▲3一飛、△2四角、▲8八金上。

f:id:honey1728:20170417013358p:plain

▲8八金上が非常に味のいい手だが、局面は難しい。以下△5二銀や△7三金をソフトは示してきた。評価値は変わらず+400ほど。
尚、ここで△6八角成、▲同銀、△7七歩には▲7九金と引いておいて、▲7六香の狙いが厳しく残る。

 

結論としては、▲2四歩に踏み込むのかどうかは難しいか。折角検討したので一度ぐらいは実戦投入します。笑