Dimensional Sniper

将棋 / 研究 / 青嶋未来

角換わり新型同型 08

続きです。

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上図から▲4五歩、△同歩、▲同桂、△4四銀、▲4六歩は自然な順。

実戦ではそこで△1三角と打たれましたが、この手は微妙だったようで以下▲4七金(すぐ▲1五歩もある)から自然に指して押し切ることができました。

考えていて気になったのは△6五歩。

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ここで▲2四歩には△同歩、▲同飛に△1三角と打たれ、△4六角~△6四角のルートがあっては先手自信なし。

一例は▲7九玉ぐらい。以下△6四角、▲4七金、△4三銀、▲2四歩、△同歩、▲同飛、△2三歩、▲2九飛、△5四歩、▲6六歩は一連の手順といったところか。

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以下△同歩、▲6五歩、△4二角、▲6六銀、△2二玉のような展開。

やねelmoの評価値は+50~-50で互角。

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通常なら後手番を持ってなりやすい局面だと思うので、打開するとなると先手側が大変かもしれません。

 ▲7九玉のところであらかじめ▲4七銀と引き、△6四角に▲5六歩という順も柔軟。

 

また、▲7九玉で▲2四歩~▲3五歩~▲1五歩~▲7五歩の仕掛けも考えてみました。以下▲1五香で一歩を入手して▲7四歩が狙い。

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しかし、これには△7一香が手筋の受けで後手優勢。

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いきなりの激しい仕掛けは難しいそう。

 

どうでも良いことですが、▲4五桂~▲4六歩の形は特にやねelmoの評価が高い(概ね+100~+200を示す)傾向にある気がします。他のソフトだと千日手気味の順を示すことも多いのですが。

 

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角換わり新型同型 07

またも新型同型そのものの将棋ではないですが、合流しうる類型ということで…。

先日指した将棋から。

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色々あって9筋の歩が突き越されていますが、あまりお気になさらず。

実戦は▲4五歩、△同歩、▲同桂、△4四銀、▲4六歩…と進みました。この順は次回検討します。

 

今回検討したいのは、▲4五歩に△4二飛の変化。この飛車回りは後手にとっておいしくない場合が多いようです。評価値もやねelmoで+300以上に振れます。

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同じようでも、△6二金、△8一飛で△4一飛と回るのは有力な変化。

 

△6三金型で△4二飛と回った類型に、村田智-飯塚戦があります(先後逆)。

部分的な手順だけ進めると、▲5一角、△4一飛、▲3三角成、△同金、▲5二銀、△4二飛、▲6三銀成、△同銀、▲6六銀という順。

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細いようでも先手の攻めが繋がっています。以下飯塚先生が攻め切って快勝。

 

以上のように▲5一角も有力ですが、▲7九玉も有力です。

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△4五歩には▲同桂、△同銀、▲4三歩、△同飛、▲5二角があります。

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△4二飛と回ったのに放置されても△4五歩と取りにくいようでは、やはり冴えないという気がします。飛車を回る受けなら△6二金~△8一飛を狙った方が良いようです。

 

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対先手中飛車左美濃 07

下の記事の続きです。

非常によく遭遇します。

honey1728.hateblo.jp

下の局面、▲2六歩~▲2七銀などでは△8四飛~△7五歩で後手ペース。▲6八角は当たりを避けつつ▲4六角~▲7七桂~▲6五歩が狙い。

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以下△8四飛、▲7七桂なら△7五歩と仕掛ける。

▲同歩では△同銀の調子が良いので、▲6五桂と跳ねる。

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以下△同桂、▲同歩、△同銀、▲7五歩。

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ここは▲4六角もありそうだが、以下△7六歩、▲7三角成、△8一飛、▲5五歩に△7一飛がぴったり。

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ここで▲8二馬なら落ち着いて△7五飛と逃げておく。7七の地点を受ける手は▲6九桂しかないが、先手の元気が出ない展開だろう(やねelmoの評価値は-300ほどで大差というわけではないが)。以下△2四桂や△1五歩、△5一角などが一例。

 

よって一旦▲7五歩ということになる。

以下△8六歩、▲同歩、△7六桂、▲4六角、△8八桂成、▲6八金、△8七成桂で下図。

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後手が上手くやっているようだが、評価値は-100程度で互角。以下▲7三角成、△8六飛、▲5五歩、△7六歩、▲9五馬、△8五歩…が一例らしい。

ただ、飛車が走れて駒得もできそうなので、後手の方針が分かりやすい局面ではあると思う。

 

戻って、▲7五歩では▲5七角と柔軟に受ける手もあるか。後手は△8一飛としておいて、▲7五角なら△6六桂を狙う。これは-200ほど。

 

基本的に、後手は馬を作られるのは恐れなくて良いようです。

 

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和而不同

お久しぶりです。。。

 

将棋の大事な大会があり、また本業の方も忙しく、ブログ更新が完全に頭から飛んでいました。笑

 

とりあえず一段落ついたので、また更新していきます。

休止中にネタは色々と貯まりました。メモを怠っていたものも多いので結局一から書くことになるのですが、こつこつ続けていく所存です。

 

備忘録がてら、今後載せようと思っている局面をまとめておきます。これまで触れた局面もありますが。

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角換わり新型同型 06

昨日の続きです。まずは▲6六歩型に対する仕掛けについて。

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▲同歩、△5四銀、▲6四歩には△7五歩が部分的にはよくある順。

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これに▲同歩はやや危険な手で、△6五桂、▲7六銀、△8六歩、▲同歩、△6六角、▲7七桂、△8六飛と攻めたてます。

▲7六銀のところ▲同銀、△同銀、▲5五桂には△5四銀打が厚い手で、▲6三歩成には△4五銀と出て後手良し。この進行は△6五銀の圧力が大きく残っています。

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ここで▲8七金なら△同飛成、▲8七銀なら△5七角成、▲同金、△同桂成、▲同玉、△6六金の要領です。後者の順は難しいところもありますが先手としては選びたくない順でしょう。

 

△7五歩に対して▲同歩のところ、ソフト(やねうらelmo、浮かむ瀬など)の候補手は▲3七桂が多いようです。▲同歩も難解ですが、受け一方の感は否めないでしょう。▲3七桂は攻め味を持たせる手。

▲3七桂には△3一玉と一手待っておく手と△9五歩と仕掛ける手があるようです。いずれにせよ評価値は-50~+100ぐらいでほとんど五分。

 

△3一玉には▲2五桂が自然だが、△4二銀でも△2四銀でもいい勝負。次に△2二角という反撃を見ています。

△4二銀には▲1五歩、△同歩、▲1二歩、△同歩、▲7五歩で次に▲1三歩を狙う順が気になるが、そこで△6五桂の反撃があるので難解。

△2四銀は△2五銀を見てより強い手ですが、6四に歩が垂れている分後手玉の右辺が薄いのでどうか。

 

△9五歩も有力。以下▲2五桂、△2四銀、▲9五歩、△6五桂、▲6六銀、△8六歩、▲同歩、△7六歩でどうか。

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▲6五銀には△同銀、▲同銀、△8六飛が十字飛車になる。

どの順にしても際どい攻めですが、手になっているのは間違いないと思います。

角換わり新型同型 05

▲4八金型の将棋ではありませんが、乗りかかった船ということでまとめてしまいます。手待ちすれば合流することもありますので…。

 

▲4六角型への対応がテーマ。

 

最近、千葉-飯塚(竜王)、稲葉-佐藤天(名人戦)、三枚堂-木村(王将)と立て続けに下図の局面が出現しました。村山-畠山鎮(竜王)、丸山-糸谷(竜王)も類型に挙げられるでしょう。

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上に挙げた例では、全て最終的に後手が△5四歩から右玉にシフトしました。最新の二例では後手が下図のように組んでいます(稲葉-佐藤天、三枚堂-木村)。

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延々△6二金~△5二金を繰り返す手待ちは、以前紹介した村山-畠山鎮の駒組みが優秀でやはり厳しいと思います。△3三銀を5三へと持って行ったのが千葉-飯塚ですが、これも先手が上手い仕掛けに成功しました。

上図のように△4二金~△5二金左とくっつけるのが名人の工夫といったところでしょうか。数種類のソフトに掛けてみましたが、評価値は大体±0で千日手順を示すことも多いです。

 

というわけで、一つの優秀な指し方ではないかと思います。尤も、佐藤天先生や木村先生のように受けの強い棋士が故に採用しやすいということはあるのでしょうが。

 

 

さて、最近ご教授頂いて検討しているのは、下図でのいきなりの仕掛け。

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▲同歩に△5四銀。部分的にはAbema藤井聡-増田の感想戦に書かれていた筋です。

上図の局面の評価値はやねうらelmoなら100ほど先手に振れますが、手を進めると戻ることも多く成立しないということではないようです。

ちなみに、▲6七歩型でも△6五桂と仕掛けます。

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▲6八銀なら△7五歩や△9五歩の要領。

 

今日は取りあえず導入だけ。この仕掛けについて暫く検討してみます。

晝短苦夜長、何不秉燭遊。

5月は毎日更新しよう、いやそんなにネタがないかな…と思っていましたが、検討したい局面なんて腐るほど出てくるものですね。笑

ま、もともと暇な日にまとめて5つ分ぐらいの記事をまとめ書きするスタイルなので、毎日更新といっても毎日書いている訳ではありませんが。一つの記事の内容も極端に薄いですし…。

 

基本的に自分の実戦で出現した局面から、気になるものを検討して備忘録として載せているイメージです。よって全く体系的なものではありません。「このテーマを扱っているのにこの局面がないのは何故?」といったものがあれば、ご教授ください。

とりあえずいずれ更新するのは、角換わり▲4六角型への対応ですかね。タイミング良く、名人戦で出てきましたし…苦笑

 

そういえば最近は、WCSC27の決勝リーグの棋譜並べをしています。羽生谷川、羽生佐藤、羽生森内あたりをぐるぐる回るのには飽きてきたのです。笑

想像よりも意味不明ではないというか、意外と楽しめるものだと感じました。

 

本業の方が少し忙しくなってきたので、連続更新もそろそろ途切れるかもしれませんが…