Dimensional Sniper

将棋 / 研究 / 青嶋未来

対先手中飛車左美濃 06

話題があちこちに飛んでしまい、分かりにくくてすいません。

 

この形の最序盤で気になっているのが、下図のようにいきなり▲5五歩~▲5四歩と歩を換えてくる変化。

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私が実戦で指されたことはあまりありません。後手の角道が通っていないので先手の角が捌きやすくなるわけでもなく、中飛車側からしてみるとそこまで突きたい歩ではないのかも。しかし目標とする5五の歩が消えるので、居飛車としては気になる順ではないでしょうか。

以下△同歩、▲同飛、△6四銀、▲5九飛。

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ここは居飛車の分岐点で、△7二飛から7筋を攻める順と、△7三桂と跳ねておく手があるようです。いきなり△7五歩、▲同歩、△8六歩、▲同歩、△7六歩の仕掛けも有力です。

ここは浮かむ瀬の候補手も揺れているところで、どれもありそう。ここでは面白い構想があったので△7三桂を進めてみます。

上図以下△7三桂、▲7八金、△3二玉、▲3八玉、△1四歩、▲1六歩、△1三角。

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3四の歩を突くと先手の角筋が通る上▲5四飛などで狙われる場合もあるため、突かずに端から角を使う。

以下▲6六歩、△2二玉、▲2八玉、△3二銀、▲3八銀、△3五角。

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いかにもソフトチックな序盤。評価値はほぼ五分。人間の力で角を上手く使えるのか若干の不安はありますが、仕掛けの主導権は後手が握っていると思います。

上図では▲6八銀が自然だが、それには△7五歩と仕掛ける。以下▲同歩には△7六歩~△8六歩、▲6七銀なら△7六歩~△8四飛ぐらいでどうか。

▲6八角とぶつける手には△4四角と躱しておく。これは△7五歩や△5五銀を狙う将棋だろうか。

 

先日紹介した伊藤真-村山戦もそうでしたが、この端角の構想は一度試してみたいです。

 

さて、どうでも良いことですが、前々回で百回目の記事更新だったようです。私が自分のためにまとめているメモに過ぎない(最近は特のその傾向が顕著)のですが、読んで下さっている方もいるようなので、ぼちぼち続けていきたいと思います。

対角交換四間・備忘録

これも実戦で非常によく出現するのでメモ。

 

居飛車が銀冠穴熊を目指した序盤に対して、四間飛車側が△3二銀型で待機して角交換を狙うのはよくある手法。

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上図から進めて下図。手損している関係で完全に同一局面ではないですが、増田-石田直(新人王戦)が一例。

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先手は右金も囲いにくっつけて堅めに行く順も一局。

上の棋譜感想戦に出ている順ですが、ここで先手から動く順として▲1五歩、△同歩、▲4五桂という筋があります。

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△同飛に▲3二角と打ち込むのが狙い。以下△1二角、▲2四歩、△同歩、▲2二歩、△同銀。▲1四角成、△2三銀、▲1五馬、△1四歩、▲3七馬は浮かむ瀬の示した順で、形勢は+200~+300ぐらい。

▲2二歩では▲1三歩もあり、以下△同桂、▲1四角成、△2一角、▲2三馬、△4三飛…の進行。

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△1二角は打ちたくない角ですが、▲2一角成~▲1一馬に優る攻めがないので仕方ないところ。

さて、この仕掛けは私がよく実戦で採用していた順ですが、最初の図の浮かむ瀬の最善手は実は▲4五桂ではなく、▲2七飛や▲9八玉、▲6八銀などと手待ちをする手です。すぐに仕掛けるのではなく、少し待って後手陣の乱れを誘い、そのタイミングで▲4五桂と仕掛けられればより良くできるという思想らしい。確かに、△6二金や△9二玉の形で仕掛けられれば明快に得です。

 

角交換のタイミングや金の動きによっては、最初の図がそもそも後手番ということもよくありますが…。

対先手中飛車左美濃 05

最近中継されていた将棋より。二例。

 

まず、下図は上田-加藤戦(女流、マイナビ杯)。ご覧のとおり、このシリーズで取り上げている序盤戦術に近い順です。

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ここから先手は▲5五歩~▲6五歩~▲5六銀の順で対抗。但し、本譜は加藤先生が穴熊を志向したのでこのシリーズとは別の将棋になりました。

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上図以下、△7五歩~△8六歩~△8四銀の動きで後手が快勝。

 

さて、上の将棋の翌日に行われたのが伊藤真-村山戦(棋王)。

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序盤の細かい所ですが、村山先生の△7三銀のタイミングは上図。このあたりで▲5四歩と突く順はそれほど上手くいかないようです。私はよく指されるので、5筋交換の順もまた検討したいと思います。

以下▲6六歩、△4四歩…から駒組みが進んで下図。

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先手は上田-加藤戦と同じ駒組みですが、後手の駒組みが大きく異なっています。△3四歩と突かずに△1三角から手を作る構想で、一昔前の深浦新手と似たものを感じますね。

以下▲5八金左、△1三角、▲6九飛、△2二玉、▲1六歩に△8六歩から仕掛けました。

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軽そうだが十分手になっている。以下▲同歩に△5四歩から歩を手に入れて△8八歩の要領。

△7三銀は置いたままにしておいて、先手の捌きを抑えるという考え方。

 

▲5五歩~▲6五歩~▲6八飛と大きく模様を張ってくる順には、この構想が優れているようです。

銀冠穴熊vs四間穴 03

メモの続き。いつものことですが内容薄いです。

 

下図で▲2四歩と突かない場合の進行の一例を考えてみます。

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先日教わった手で、浮かむ瀬では第二候補に挙がるのは▲7六歩、△7二飛、▲8八角の順。

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この順がなかなか有力であるように思います。先後逆でも使いやすいのも大きなメリット。

四間穴側は7筋からのコビン&角頭攻めが一番の狙いなので、それを事前に躱しておくのが大きいとのこと。

今ぼんやり駒組みすると、△5四銀、▲6六銀、△6五歩、▲7七銀、△4五歩、▲9六歩。

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先手陣は非常に堅い上、▲8五歩~▲9七角と▲2六飛~▲3六飛を見ていつでも手が作れる形。形勢は既に+400~+500とかなり先手に振れる。

△6五歩のところで△6五銀でも、▲同銀、△同歩、▲2六飛ぐらいで先手の角道が通っており不満なし。そこで△6四銀と打つのは部分的な形だが、あらかじめ角が遠ざかっているのでやりにくい。

 

振り飛車側の代替案としては、居飛車の駒が偏っているのを見て△3二飛~△3五歩なども考えられるだろうか。

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居飛車の対応は色々ありそう。

以下▲2六飛(△3六歩~△1五角の防ぎ)、△1五角、▲1六飛、△5一角、▲6六銀、△3四飛、▲8五歩と左辺から手を作るのは一例。

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上図から▲7五銀や▲9七角、▲5五歩を絡めて手が作られればうまい。

 

また、▲6六銀のところで▲8五歩、△3四飛、▲7七角と銀を動かさずに待機し、△3三桂なら▲4六銀と出るのも面白い。

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放置すると▲6八角で困るので△4五歩だが、▲同銀と取って▲1一角成~▲1三飛成があり先手良し。

 

▲8八角は一見違和感のある手ですが、かなり有力なようです。

銀冠穴熊vs四間穴 02

続きです。

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以下▲2四歩、△同歩、▲2二歩の変化。

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後手としては何か手を作らなければならない局面。

以下△2五飛、▲同飛、△同歩、▲2一歩成、△2八飛は自然。

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この局面の形勢は難しそう。先手の方が少し堅いが、後手は△2四角ですぐに角が使えるのに対して先手の角は負担になりそうな位置。ちなみに浮かむ瀬の評価値は+400ぐらい。

以下の手順はソフトも揺れているぐらいなので難しい。

一例は▲1一と、△2九飛成、▲6八銀、△6五桂、▲3一飛、△2四角、▲8八金上。

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▲8八金上が非常に味のいい手だが、局面は難しい。以下△5二銀や△7三金をソフトは示してきた。評価値は変わらず+400ほど。
尚、ここで△6八角成、▲同銀、△7七歩には▲7九金と引いておいて、▲7六香の狙いが厳しく残る。

 

結論としては、▲2四歩に踏み込むのかどうかは難しいか。折角検討したので一度ぐらいは実戦投入します。笑

銀冠穴熊vs四間穴 01

最近立て続けに指す機会があったのでメモ。

ノマ四に対して最近流行の銀冠穴熊に組む場合、穴熊に組まれる場合のことも考えておかなければなりません。

尚、私はこの形について書いてある本を読んだことがないので、以下の内容は本来常識なのかもしれません…が、恐れずに書きます。笑

 

昔からよくある定跡形は下図(おそらく)。

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ちなみに、この形は先後の差が大きいので、後手番の場合は同じように進めて良いのかは疑問です。尤も、先手番で四間穴熊を指す人は少数派かもしれませんが。

以下△7五歩、▲同歩、△同飛。

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ここで▲6六銀と出て、以下△7二飛、▲7六歩、△5四銀、▲6八角、△4五歩、▲8八金上、△6五銀…というのは実戦で数回指したことがあります。なお、△7二飛で△4五飛には▲2四歩で先手良し。

上の進行は浮かぶ瀬で+100~+200とほぼ互角。

 

ここでは▲2四歩と突く手もあるようです。

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ここで突き捨てておけば△同歩と取りにくいということのようです。とはいえこの変化も難しそうなので次回考えてみます。

自然な進行は△同角、▲6六銀、△7二飛、▲6八角か。以下、△5四銀、▲2四角、△同歩、▲4一角、△1四角、▲同角成、△同歩、▲4一角が浮かむ瀬の示した手順。

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先手も▲2四飛とすぐに走れるわけではないので、もたれつつの長い戦いになりそう。評価値は+300ほどで、まあ互角の範囲内。

△5四銀のところで△2二飛と受けられたら、▲2四角、△同歩、▲2三歩。以下飛車を逃げる手に▲2二角と打ってどうか。

 

すいません、今気が付きましたが、図面の後手の持駒が全部消えてますね。全局面歩か角だけです。

続きます。

対先手中飛車左美濃 04

前回の続きです。先手が▲6五歩と突く手を見送る変化。

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前回最終図の先手の駒組みが冴えなさすぎたので、修正案を考えてみます。

バランスを取って▲7八金と上がり、右辺の仕掛けに備えておくのが一例。以下▲6八角~▲4六角~▲6五歩が狙いの一つとなります。

 

上図以下▲5九飛、△3三角、▲6八角、△8四飛といった具合でしょうか。

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△3三角を省いて△8四飛と浮くのは、いきなり▲6五歩と突かれて▲6六角のラインがあり痺れているので注意が必要。△3三角は何気ないが欠かせない手だ。

△8四飛に▲7七桂なら、△7五歩と仕掛けるのが一案。難しいが後手は不満なさそう。

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▲4六角なら、△4四歩が無難だろうか。居飛車の仕掛けは少し難しくなるが…。

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△4四歩を消極的と見れば、8筋を交換して△8一飛の形で手待ちするのもありそう。

▲7七桂~▲6五歩は、△同桂、▲同桂、△同銀、▲7三角成に△7五歩で馬を作っても大したことがない。

ただ、▲4六角の利きを活かして▲5五歩と伸ばしてくる手もあり、先手に選択権を与えているきらいもあるか。