Dimensional Sniper

将棋 / 研究 / 青嶋未来

飯塚流と後手超速 03

前回の続き。今回は、後手超速に先手が▲6六銀で対抗する形です。

進行は菅井-大橋戦(第46期新人王戦第一局)より。

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見ての通り、通常の超速における銀対抗を先後逆にしたのと同じ形です。

ただ、以下中飛車側が普通に組む展開なら、先手番の戦法を後手番で指せているので居飛車としては悪い気はしないと思います(先手の一手の得が活きそうな形もあります、後述)。

本譜は少し飛ばして下図。

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ここから△4四歩、▲5三歩成、△同銀上に▲1八香。

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一手早いのを活かし、一歩持って穴熊に組むのが菅井先生の構想だったようです。

以下後手としては先手に満足な形に組まれるわけにはいかないので、金銀を盛り上げて抑え込みに出ます。

ここからの居飛車の指し回しは絶品でした。手順は省略しますので、上のリンクからご覧ください。

 

さて、上に書いた「先手の得が活きそうな形」についてもメモしておきます。実戦で指されて困った形です。

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銀対抗から、某本に「クロスファイア」という謎のネーミングがなされている形へ。一時期プロ間でかなり指されていた形の先後逆バージョン。

一手の違いというのは大きいもので、定跡なら上図で先手が▲3八金と上がる所ですが、その一手がもう指されていることになります。

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この一手は大きく、以下定跡通り進むと上図。丸々▲4八銀が入っている計算で流石に後手は持ちにくい。

というわけで、後手としては銀対抗から淡々と進められたら急戦策ではなく穴熊に組むべきなのかもしれません。超速銀対抗からの相穴熊、という数年前よく指されていた戦型になりますね。

 

この銀対抗の形は一手の差を活かして先手が工夫してくる場合が多く、後手としてはそれに対応する展開になるでしょうか。通常の超速の経験が大事になりそう。

 

 

載せ忘れていましたが、suimonさんのブログに対先手中飛車の角道を開けない急戦についての解説があります。ご参考まで。

www.fgfan7.com