Dimensional Sniper

将棋 / 研究 / 青嶋未来

相掛かりの序盤 11

前回の続き。

▲4六銀を見てすぐに△4四歩も自然な手だと思います。

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これにも、ゆっくり組んで△4五歩と突かれる展開は避けたいので、先手としては動きを模索しながら駒組みを進めることになります。

以下▲5八金、△4三銀に▲6六角がソフトの好む手。相掛かりの序盤シリーズでたびたび登場している手です。

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角道を通したまま▲7七桂と跳ねる手を用意し、後手の飛車を追いやすくする狙いがあります。

上図ですぐ△4五歩なら、▲7七桂、△8二飛、▲4五銀で問題ありません。そこで△9五歩、▲同歩、△9七歩(▲同香なら△6四角のラインが生じる)は気になりますが、落ち着いて▲5六銀と引いておき、△9五香なら▲6五桂から5三の地点を狙って先手戦える模様。

 

△6四歩なら▲3五歩の仕掛け。この動きの呼吸を覚えたいところ。

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△同歩なら▲7七桂~▲3五銀で棒銀成功。

△4五歩は手筋の切り返しだが、▲7七桂、△8二飛、▲3三角成、△同桂、▲5五銀、△6三銀、▲3四歩、△同銀、▲2四歩、△同歩、▲4四銀で先手の調子が良い。

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この展開ならやねelmoの評価値も+400ほど先手に振れます。

 

後手としては、5三の地点が薄い場合の△4五歩はやや危険。よって△4五歩では△6三銀、▲8八銀、△5二金ぐらいが本手順。

そこで▲3四歩、△同銀と進んで下図。

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評価値は全くの互角。検討していると、相掛かりの序盤の評価値は大きく振れることが少なく、逆に+200ぐらいに振れるとそのままリードが広がっていく展開が多い気がします。

 

 

『五分後の世界』村上龍

誤解されそうで好みではない表現ですが、それでも言いたいのは「ラスト一行が素晴らしい」ということ。しかもその最後の一行に至るまで、中身が実に濃厚に詰まった一冊です。村上龍に若いうちに出会えてよかったと思います。