異次元の狙撃手 09
叡王戦の青嶋-三枚堂より。
先手中飛車から紆余曲折を経て下図。やや作戦負けの後手が穴熊への組み替えを見せてきたところ。
ここからはお互いに至極自然な手順だが、先手がどういう仕掛けの構想を描くのかというところに注目してほしい。
上図以下▲7九飛、△5四歩、▲同歩、△同金、▲5五歩、△5三金、▲3五歩で下図。
▲7九飛は次に▲6九飛を狙っており、後手も銀の退路を作るために5筋の歩を換えておく。金が離れたところで先手も3筋の歩を切っておく。
以下△同歩、▲同金、△3四歩、▲3六金、△4三金、▲6九飛、△5七歩。
後手も△1二香と上がった以上△1一玉と潜りたいところだが、▲6五歩と突かれ△5三銀と引く形はかなり息苦しい上にどこかで桂頭攻めも残りそう。そこで△5七歩とちょっかいをかけた。
以下▲5九飛、△7五歩、▲5七飛、△7六歩、▲6八角、△8四飛、▲4七飛。
相手の手に乗って自然と飛角が急所の位置にセットされた。結局後手は穴熊に潜れず、角も働かないままだ。
満を持して以下積極的な仕掛けに出た。その手順はまた明日ご紹介する。
作戦勝ちから自然な手を積み重ねて優位な形を築き上げる好例だ。