異次元の狙撃手 04
青嶋先生の順位戦デビュー戦より。C2村中-青嶋。
何だかんだいつの間にか逆転しているという、らしさ全開の将棋だと思う。一部をピックアップするのが勿体ないほどだと感じるので、是非全体を並べて見てほしい。
おそらく後手の青嶋先生が作戦負けの序盤で、先手の猛攻を喰らって上図。駒こそ後手が得しているものの自陣は荒らされまくっている上先手の高美濃は手付かず。評価値も+1000オーバー。
以下、まずは△5三銀、▲8二飛成、△6二銀打と補強。
▲8二飛成で▲7三角成と踏み込む順もあるようだが、そこまでしなくても…というのも自然な進行。
以下▲9一龍、△4五歩、▲7九角、△7六歩、▲3四歩、△3五歩。(下図)
鬼手妙手という訳ではないが、指されると妙に焦りそうなふわっとした受け。いや、個人的には並べていて立ち止まったものの、別に普通の手かもしれない。
実際この辺りもソフトによれば+700~+800とまだ先手優勢。しかしどことなく嫌な雰囲気が漂ってきていると感じるのは私だけだろうか。
以下、▲3三香(悪手)、△同桂、▲同歩成、△同玉、▲1四歩に△7七桂とカチ込んで一気に難しくなった。
形勢はもう五分のようだ。以下▲1三歩成、△4三玉、▲3三歩に△8九桂成、▲同玉、△7七桂打、▲同銀、△同歩成、▲同金、△8五桂、▲7八金、△7七歩としがみついたところでは、あっという間に逆転している。
上の▲3三香では▲7六金などと拠点を払っておくべきだったかもしれないが流れからいって指しにくい手。
▲1四歩に手抜いて△7七桂が狙い澄ましたタイミング。本譜のように、▲1三歩成に△4三玉が早逃げの手筋で、すぐに▲2三ととは取れない仕組みだ。
手付かずだった高美濃を7七へのぶち込みだけで一気に寄せてしまった。