△2五桂ポンへの対応 03
続きです。流石に下図の局面で桂ポンしてくる人はいないと思いますが…
ここで△2五桂、▲同飛、△2四歩、▲2八飛に△3九角と打ってくる手は考えられます。▲3八銀型を咎める手です。
ただ、これには▲2七飛、△2五歩、▲3七銀、△3五歩、▲5九金寄、△3六歩、▲4九金がピッタリの受け。
角銀交換が確定し、先手優勢。
しかし△3九角で△2五歩は▲3七銀で受け止められます。
桂ポンは放っておいて玉頭方面で勝負するのも有力ですが、できれば取って勝負したいという場合には今回紹介した手順も有力だと思います。
桂ポンを見送って駒組みに進めば、下図が一例。
▲9五歩が大きすぎる主張なので、無理に銀冠には組む必要はないという判断でしょうか。また、▲4六歩~▲4七銀を急ぐと△6四角の筋が生じる場合があり気になるところ。▲2九飛を急いだのはバランス重視の駒組み。
上図はやねうらelmoなら+150ぐらい。互角ですが後手のやりたいことは封じているような気がします。
△2五桂ポンへの対応 02
続きです。
次は少し遅らせて、下図のタイミングでの桂ポンを考えてみます。
前回も書きましたが、▲3八銀から組むのは一つの工夫。
次に▲3六歩と突かれると桂ポンがやりにくくなりそうなので、△7二銀を締まる前ですが桂ポンを敢行してみます。
即ち上図で△2五桂と跳ね、以下▲同飛、△2四歩、▲2八飛、△2五歩、▲2七銀で下図。
今回は△7二銀で形よく受けられるので▲8五飛と回らず、▲2八飛から▲3八銀型を活かして受け止めに行きます。
尚、△2五歩のところで△3九角は、▲1八飛、△2五歩、▲5九金寄、△2六歩、▲4九金、△5七角成、▲同金、△2七歩成、▲同銀、△同飛成、▲3八角で受け止められます。龍は作られますが角桂と銀の交換で大きな駒得。先手良しです。
上図で△3九角も、▲3八飛、△2六歩、▲3六銀、△2七歩成、▲3九飛、△2八と、▲5九飛、△1九と、▲4五銀でやはり駒得が大きく先手良し。▲5五角と▲4一角の狙いがあります。
他に後手が暴れるなら△4九角ですが、▲3八桂で急かします。ここは▲1八桂もあるようです。
次に▲5九金引(▲4八金)で角が死ぬので後手は忙しい。
以下一例は△2六歩、▲同桂、△5八角成、▲同金、△3三銀、▲7七角。
▲3四桂が大きな手なので△3三銀と一度受けなければならないのが辛いところ。
△5八角成では単に△3三銀としたいが、▲5九金、△2五歩、▲4九金、△2六歩に▲3六銀と躱せるのが大きい。以下△3五歩だが、▲2三歩、△3六歩、▲2六飛が落ち着いた手順でこれも駒得が大きい。
上図で△2五歩なら▲3四桂、△同銀、▲3六銀ぐらいでよい。後手の主張がほとんどなくなっている。
戻って、▲2七銀に強襲するのは難しいようです。ここは△5四角や△3三銀、△7二銀などで駒組みに戻るのが本手。
これなら形勢も大きくは離れていない模様(やねうらelmoなら+100~+200)。
以下一例は、▲3六角、△3三銀、▲5四角、△同歩、▲3六歩、△4四銀、▲4六歩、△7二銀、▲7七銀。
後手としても飛車先の逆襲と先手の歩切れという主張は保っている。
この後、先手はどこかで▲5九角と打つ感じだろうか。
△2五桂ポンへの対応 01
△3三角戦法に対して9筋を詰める形。王位戦の広瀬-深浦が思い出される戦型ですね。
持久戦になるとやはり居飛車の模様が良い場合が多いので、後手から手早く動かれる展開が多いように思います。その一例が△2五桂ポン。
先手は取る場合も取らない場合もありますが、その対応を考えてみます。
まずはかなり早いタイミングでの仕掛けから。今日もやねうらelmoとの検討です。
余談ですが、やねうらelmoはこの戦型で対局させると▲5八金~▲3八銀~▲4七銀の順で駒組みをすることが多いです。2筋逆襲の順を若干警戒しているのかもしれませんね。
さて、上図での△2五桂には、▲同飛と取って△2四歩に▲8五飛と手薄な玉頭に狙いを付けるのが基本。
そもそも▲3九銀型なので流石に相当やりにくい桂ポンでしょうか。
以下△2五歩なら▲5六角、△7四角、▲同角、△同歩、▲7五歩が本筋。
一歩持てば先手は2筋の受けが利くようになります。以下△同歩、▲同飛、△7三歩なら▲7四歩と合わせて3四の歩まで取りに行く。評価値は+500ほど。
△7四角のところ△8二銀も自然ですが、▲3四角と一歩取る手がやはり大きい。以下△2六歩なら▲3五飛が好手(△3三歩ならそこで▲2五飛)です。
△2五歩のところで△8二銀と先に受けてきたら、▲3六歩、△2五歩、▲3五歩と進めます。
これも歩をぶつけて一歩取りに行くという発想は同じ。
以下△2六歩なら、▲3四歩、△2七歩成、▲6六角、△4四角、▲同角、△同歩、▲3五飛が一例。
形勢は+700~+900。以下△1八となら▲6五角、△5四角、▲同角、△同歩、▲1五角と強引に3筋を突破するのが分かりやすいようです。
最初に戻って、△3二金と△2一飛を入れずに仕掛けるのも、本譜と同じ要領で流石に成立していません。後手はもう少しタイミングを見計らう必要があります。
相掛かりの序盤 08
本当にメモだけ。相掛かりの出だしから角換わり模様に変化する例について。
佐々木大地流の出だし。
以下△3三角、▲4六銀、△4二銀、▲7六歩。△4二銀で△2二銀は中央が薄くややバランスが悪いように思います。
ここで△7四歩なら、▲3三角成、△同銀、▲8八銀とし、角換わりで先手が早繰り銀に出たのと似た局面になっている。
▲8八銀に△8六歩なら、そのまま飛車先切らせ早繰り銀の形。
△8六歩でなく△7三銀なら▲7七銀、△6四銀と相早繰り銀に進みそう。
9筋の交換が若干後手に得に働いているが、すぐに仕掛けられる訳ではない(▲2四歩~▲2五歩があるため)。
上図以下は▲1六歩、△4四歩、▲5六角が一例。
▲3三角成に△同銀のところ、△同桂も有力。以下先手は▲6八玉、△4四歩、▲2四歩、△同歩、▲同飛、△2三歩、▲2八飛と進める。
この時△4三銀には▲2二歩があるのがネック。よって△5二金ぐらいだが桂頭が不安。相掛かりの形としては△同桂が自然なように思うのですが、この場合は△同銀の方が無難かもしれません。
少し戻って、▲7六歩にはすぐに△8六歩が自然かもしれません。以下▲同歩、△同飛、▲3三角成、△同銀(ここも△同桂とは取りにくそう)、▲8八銀。
△7六飛なら▲7七桂で、▲8二角の筋を見せておく。後手の飛車の行き場所が少し難しい。
△7六飛と横歩を取れないのなら、飛車先切らせ早繰り銀の形に合流しそう。
▲6六角型銀冠対策への対応(続)
再び実戦より。たまに指されるこの形についても検討してみます。
居飛車が銀冠への組み換えを見せたところ、振り飛車が右玉模様に変化してくる指し方。
長い持ち時間の将棋で似たような形を指したことがあるのですが、ここから居飛車が淡々と囲うと駒が偏って仕掛けが難しくなる場合が多いように思います。そもそも▲6六角と上がりにくい感じも。
やねうらelmoの評価も、上図では+150ほどありますが深く囲うと+50ほどに戻ることがあります。
色々なソフトに掛けてみましたが、上図は△3二金に反応して少し仕掛けを見せた方が良い局面のようです。
一例は▲3六歩、△6三銀、▲3八飛。そこで△4五歩なら一転して▲6六歩と突きます。
▲6六歩では強く▲3七桂を示されることもありました。この瞬間なら▲8二角の傷があるので後手も角交換に応じにくいということでしょう。
先手は角交換には応じにくいと見て▲6六歩も自然。以下△7三桂、▲3五歩、△同歩、▲同飛、△4四角、▲3六飛の要領。
以下一例は、△7二金、▲3七桂、△3五歩、▲1六飛、△3四銀、▲4六歩。
すごく上手くいっているという訳ではないでしょうが、手の雰囲気だけでも伝わるでしょうか。
形勢はほとんど離れていない模様。振り飛車としては組み合う変化は堅さ負けしそうなので、このような変化を試してみるのも良いのかもしれません。
▲6六角型銀冠対策への対応
ソフトと検討していて面白い構想を示された局面を適当に紹介してみます。指すかどうかは別問題ですが…苦笑
下図は、▲6六角型の銀冠を志向した手に対し、振り飛車が急襲を匂わせてきた局面。
おそらく▲9八香と上がっておけば後手からの急襲はないと思うのですが、△3二銀型で▲9八香と上がるのは少し早いという印象を持っています。△4五歩から角交換になった時、穴熊に組んで必ず打開できるのかどうかが若干不安。尤もこれで何の問題もないのかもしれません。
▲8八玉は△6五歩~△8五歩がいつでもあるので嫌か。▲5八金~▲6八金は、同じく△6五歩~△8五歩と仕掛けられた後に▲6八角と引けなくなるので不安。
まあ、血気盛んな後手陣を見るに、囲いにいく手は何でも襲いにくるのでしょう。笑
やねうらelmoの第一候補手は▲7七桂。(▲5八金と揺れていましたが)
一見指しにくい手ですが、少なくとも急襲は封じています。更に、数手進めると構想が分かります。
以下△4三銀、▲6八銀、△7二金、▲5九金、△7一玉、▲8九玉。
後手の指し手は淡々と進めています。
上図以下△8二玉、▲6九金、△6三金左、▲7九金寄、△5四歩、▲3六歩。
一時期流行ったミレニアムに少し似ている陣形になりました。以下▲5七角まで引いた局面は作戦勝ちと言って良いでしょう。
どのぐらい優秀なのかは分かりませんが、相手の気合を外す効果(?)はあると思います。
角換わり新型同型 04
小林裕-藤井聡(王将)より。
いやはや、藤井聡太先生の活躍には目を見張るものがありますね。小林裕先生、平藤先生といった中堅どころの強豪を角換わりで圧倒した将棋は圧巻でした。
新型同型から、▲5六銀に後手が足並みを揃えずに△6五歩と位を取った局面。
実戦は以下、▲4五桂、△4四銀、▲2四歩、△同歩、▲同飛と進みました。
以下実戦では△2三歩、▲2九飛、△6四角、▲3七金、△5四銀…と進みましたが、ソフトとの検討に依れば、実は上図で△1三角と打つ手があったようです。
△1三角と打つ手はこれまでにも紹介したことがありますが、この場合は特に条件が良いようで、やねうらelmoでは-450ほどに振れました。
△1三角、▲2九飛、△4六角と進んで下図。
△6五歩と伸ばしておいた効果で、△6四角と引けるのが大きいです。△6四角の形になれば、一歩手持ちにしているので△8六歩の仕掛けがあります。これは後手ペースの戦い。
▲4五桂~▲2四歩が成立しにくいとなれば代わる手が必要になります。▲7九玉~▲6九飛と先日の木村-広瀬の順のように進める順もありそう。先手がどう打開するかという将棋になりそう。
また、一見指しにくいですがすぐに▲6六歩もあるようです。浮かむ瀬もやねうらelmoもこの手を示してきますね。
以下△同歩、▲同銀、△5四銀。
△5四銀で△8六歩は▲同歩、△同飛の瞬に▲6四歩や▲5五銀があって少し怖い。
△5四銀に▲4五銀なら△6三銀で千日手模様。▲7五歩なら△8六歩、▲同歩、△同飛、▲7七銀、△8四飛など。
先手は将来的に▲6九飛の筋もあるか。ソフトは千日手順を示すことも多い局面です。