Dimensional Sniper

将棋 / 研究 / 青嶋未来

対中飛車△7三桂急戦 03

前の記事の次の対局より。

青嶋先生が指していたのを見て興味を持ち、少し前に記事にした形です。

 

これまで調べてきた手順は、△7三桂に▲6六歩と防ぐ手順。

本譜ではここで▲5四歩と突かれた。

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ありそうな手だが、指されたのは初めて。

実戦では長考の末、シンプルに△同歩、▲同飛、△7七角成、▲同銀、△4五角の順を選択。以下▲5九飛、△6七角成、▲7八角で下図。

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以下△同馬、▲同金の局面で陣形の引き締め方が分からず。実戦は△2二銀、▲3八銀、△4二金直としたが…

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以下▲7五歩、△8四飛、▲7六歩、△同銀、▲6一角から馬を作られると後手動きづらい形になる。▲6一角に△5七歩などの反撃もあるので簡単ではなさそうだが、▲8三角成~▲5六馬のルートが手厚い。

実際、浮かむ瀬の評価値も+300~+400ぐらい。実戦は粘っているうちに馬を消せて難しくなり、一時は逆転していたものの負け。

 

しかし、馬を作られる順はどうもまずそう。感想戦で検討した手は△6四歩。

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浮かむ瀬の最善もこの手だった。これで後手陣はバランスが取れているようだ。評価値は-200ぐらい。落ち着いてしまえば後手は歩得である。

 

ならばこの順は後手有利という結論になりそうだが、実はこの手順中に先手にも改良策がある。それはまた次回。

一直線穴熊 ▲4六銀型 05

昨日の続き。

まず感想戦で検討したのは下の局面。

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▲7九銀右は△7一金や△6二金右と代わった時に損得が微妙なのでどうかというところでしたが、▲4六歩はあったか。

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△4四飛なら▲6五歩~▲5五角で切り返せる。これもじっとされた時に手が分からずやめたのだが、とりあえず後手の動きを封じておいて、先手が一番いいタイミングで▲3五飛から動くというのは一案だった。

特に後手番の時は使える手かもしれない。(尤も、後手番の時は△4四角に▲2八飛と引いて千日手にすればいいが…)

 

さて、浮かむ瀬の推奨手は、実戦と同じ▲5六歩。

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以下△4四飛、▲6五歩、△7三銀、▲3五飛、△同歩に、▲5五角でなく▲4六角と打つのが肝心な手。

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この局面の評価値は+300ほど。

以下△2八飛、▲5五角左、△6二金右、▲4四角、△同歩、▲4一飛が自然な進行。ぼんやりしているようだが、次に▲6四歩が厳しい。

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以下△6九角、▲7九金、△4七角成、▲7三角成、△同銀、▲6四歩(▲2一飛成)の進行は、先手陣の堅さが光っている。

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つまるところ、▲5五角が疑問手でした。

一番の上の図で長考した時に▲4六角の局面まで想定できるようになりたいですね。

一直線穴熊 ▲4六銀型 04

強い方に教わる機会があったのでメモしておきます。

中飛車側が▲4六銀(先後逆なので図の場合は△6四銀)と出てくる形に、すぐ△7三銀(▲3七銀)と右銀を攻めに使う手を一時期解説していた。

honey1728.hateblo.jp

今回は最もオーソドックスな下の形で対抗。▲8六角や▲4六飛で揺さぶりながら手を作る狙い。青嶋本でよく出てくる手だが、どう進むのかよく分かっていなかったので今まで敬遠していた。

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以下△5二金左、▲8八銀、△4四角、▲3六飛、△3五角で下図。

▲8八銀には△7五歩もありそうだ。

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ここで長考。▲7九銀右、▲4六歩、▲3五飛などなど、迷った挙句▲5六歩を採用。

△同歩、▲同金なら後手捌きにくそう。実戦は勢い△4四飛、▲6五歩、△7三銀、▲3五飛、△同歩、▲5五角で決戦になった。

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しかし、以下△4七飛成、▲3二角、△3九飛、▲7五歩、△4九龍、▲7九銀右、△5八歩、▲2一角成、△5九歩成と進むと、確実な攻めが迫っており自信なし。

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この局面の浮かむ瀬の評価値は-400ぐらい。すごく大差という訳ではないが、差が縮まりにくい局面で勝てない将棋だと思う。

以下かなり粘ったものの、最後は体力差が響いて負け。

 

さて、部分的には自然な指し手でここまで進んだが、どこが疑問手だったのだろうか?

次回に続きます。

千田流△6二金~△8一飛 08

続きです。

▲4五桂に△4四銀と躱したところ。

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この▲4五桂がそもそもどうなのか?ということも考えるべきなのかもしれないが、応手が△4四銀に限定されるのなら跳ねておいても損はないと考えるのが普通だと思う。

前回の記事で▲7九玉と引いたが、△1三角と打たれてどうにも指し手が難しいようだ。

上の局面での浮かむ瀬の第一候補手は▲6七歩。

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評価値はゼロ。つまり、以下千日手になるという読みらしい。ただみすみす先手番を失うので考えたくない手だ。

仮に浮かむ瀬のこの局面の結論が▲6七歩からの千日手ということになれば、先手のこの構想自体が冴えないという事だろう。△6二金~△8一飛の構想が主に後手番でしか指されていないのはこういう事情なのかもしれない。

 

他に思いつく手は、▲6七銀と引いておく手か。

これにも△1三角と打って下図。

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▲4七金なら△4五銀直~△5五桂と攻めて後手十分。

▲1五歩の催促は、△4六角、▲4七歩、△1九角成、▲同飛、△4五銀直の二枚替えで後手良さそう。

▲3七角の受けなら△3五歩と角頭を狙う。

有力手は▲2八角と下から受ける手らしい。これには流石にすぐ攻めたてられないので、△2二角と引いておき、▲5六歩や▲3七角で一局だろうか。

千田流△6二金~△8一飛 07

前回の続き。知らないと打てない△1三角から。

引き続き浮かむ瀬との検討です。

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ここで▲1五歩なら△7五歩と突くのが急所の一手。

▲同銀には5七の地点を狙って△4五銀直があるし、▲同歩にも△8六歩がある。

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初志貫徹で▲1四歩が自然だろうが、平然と△4六角と出ておく。

そこで▲4七歩などと角を殺しに来たら△1九角成、▲同飛、△7六歩で後手の攻めがつながりそうだ。どこかで桂馬も補充できる。

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戻って、△1三角に▲4七金と角出を防いできても、△7五歩と突っかける。

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1三の角が不安定なようでも、どこから△2二角と戻った手が限りなく先手に近いので、咎めるのは難しい。

この辺りの進行、評価値は-300~-500と既にかなり後手に振れている。6七の歩が切れているところが、人間の視点では先手のアドバンテージに見えるが、実はそうではないようだ。

この序盤は本もなく実戦例も少ないので、ソフトの手を見て学ぶのは重要だなあと感じます。

千田流△6二金~△8一飛 06

便宜上「千田流」と題していますが、千田先生はそのネーミングはおかしいと否定されるでしょうね。笑

Ponanza流と呼んでいる人もいますが、Pona以外のソフトも指すので難しいですね。ちなみに今日の検討は浮かむ瀬の検討の二番煎じです。

このシリーズは△6二金~△8一飛の先後同型を扱っているので、そう書けば分かりやすかったですかねえ…

 

さて、③の▲6六歩には△6五歩で先攻の続き。基本図は下。

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以下▲同歩に△同桂の変化を考える。

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ここは△同銀もあるところで、これには先手は▲5八玉~▲6九飛と転回する将棋になる模様。少し考えてみたが、△6二金を狙われるので後手芳しくないのでは?というイメージを持った。

そこで△同桂。以下▲6六銀、△6四歩と進んだところで、先手も黙っていると後手に十分な態勢を築かれそう。

よって▲4五桂は一案。

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ここで△2二銀は、▲5五銀や▲9七角があるようだ。よって△4四銀は自然。

この△4四銀と躱した局面は、同じ陣形で4三の歩を打っている分だけ後手が損しているような感じを受ける。

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しかし、検討させてみると案外そうでもないようだ。ここで▲2四歩と行くと、△同歩、▲同飛に△4五銀直~△3三角が先手陣の欠陥を突いている。

よって▲7九玉ぐらいかと思ったが、これには△1三角と打つ手があるらしい。

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ここに角を打つ手は、この形では案外よく出てくる。応用範囲が広いので覚えておいて損のない形だ。

この場合は、▲7九玉と引いて手薄になった5七の地点と、△2二角と引いた時に6六の銀が当たりになる点を狙っている。

続・最速の▲4六銀

最近とびとびになっていて大変分かりにくいですが、下の形の類型が先日プロの実戦に現れたのでメモしておきます。中継を見てびっくりしました。笑

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以下△3三角なら▲3六歩~▲3五歩で、△1二香~△1一玉が間に合わないという話でした。

 

さて、棋戦は忘れましたが、阪田-村田顕戦は下図。

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間に合ってるやん!?!?!?という上図。実は△6二銀が保留されているんですね。なるほど…。

ただ自分は序盤で△6二銀と上がっている場合が多いので使えるかは難しいかも。

 

本題はここからで、以下▲4六歩と△4五歩の筋を防がれたのを見て、村田先生は△7三銀~△6四銀の順を選ばれたんですよね。

この思想はまるまる以下の記事と同じです。

honey1728.hateblo.jp

最速で▲4六歩まで決められた場合は△8四飛の形でなく△7三銀~△6四銀を選んだ方が良いという内容。プロの実戦に現れたのは自信になりますね(^^)。

概して、▲4六銀が早い場合は△7三銀~△6四銀はそこそこ有力だと思います。どうしても勝ちにくさはあると思いますが…(本譜も後手大優勢でしたが逆転で先手勝ち)